仕事視点で見るバチェロレッテ。プロの仕事だったのか

こんにちは、taikiです。

何かと話題の『バチェロレッテ』は見ていらっしゃいますでしょうか?

17人の男性の中から運命の恋人を見つけるという恋愛リアリティーショーで最終的に誰も選ばないという結末が賛否両論で議論を呼んでいます。

私も見ましたし、最後の結末に「おいッ!!」ってなりました。

感情的にわーわー騒ぐだけではもったいないので、私なりの解釈をまとめておこうと思います。

恋愛サイドとショーサイドで見方が変わる

『バチェロレッテ・ジャパン』はいわゆる「恋愛リアリティショー」です。

「リアルな恋愛」として見るか、「ショー」として見るかによって結末の感想は大きく変わってくるでしょう。ザックリ言ってしまえば、

恋愛サイドから見た人は「最終的にしっくりこなかったんだから仕方ないよね」であり、

ショーサイドから見た人は「え!?決められたルールを守ろうよ」

なのではないでしょうか。

私のようなオッサンが恋愛サイドから感情移入しまくって『バチェロレッテ・ジャパン』を語ると誰も読まないキモいnoteがネット空間を汚してさまよい続けることになるので、後者のショーサイドから考えてみたいと思います。

映像制作はプロフェッショナルな人達の集まりである

映像制作は、出演者からディレクター等の製作スタッフを集めてヒト・モノ・カネを投下し、定められた期間の中で良い作品を作り出すというプロジェクト型の仕事です。

プロジェクト型の仕事:
専門スキルを有した人材を各方面から招集し、一つのプロジェクトチームとして組織を形成。プロジェクトが完了すればチームは解散し、各メンバーはそれぞれの分野に戻ったり別のプロジェクトに参画したりする。パフォーマンスが悪いメンバーは、次のプロジェクトには呼ばれにくくなり自然と淘汰されるという一面もある。

『バチェロレッテ・ジャパン』も当然プロジェクト型の仕事であり、バチェロレッテの福田萌子さん、17名の候補者、スタジオ進行のナイナイ・Shellyさん、裏方の製作チームと多くの能力を有した人達がアマゾンプライムから頂いた予算を元に『バチェロレッテ・ジャパン』という作品を製作します。

当然アマゾンプライムの看板を背負っている以上、Youtuberの安っぽいドッキリ企画クオリティーで許されるはずもなく、多くのプロフェッショナルによって練られたガチな作品を目指します。

今回の話題の中心であるバチェロレッテの福田萌子さんはプロフェッショナルとして十分な仕事ができたのでしょうか。

プロフェッショナルに必要不可欠な3要素

「プロフェッショナルとして仕事ができたのか」という問いに対して、プロフェッショナルとは何かを定義しないと議論が定まりませんので、まずはプロフェッショナルとは何かを具体的に決めちゃいましょう。

ここではプロフェッショナルを構成する要素を思い切って3つに絞り込んじゃいました。

プロフェッショナルの3要素

  • 「自分にはこれがベスト!」とポジションを取れる
  • 途中で逃げ出さずに最後までやりきる「コンプリートワーク」ができる
  • 自分が上司や顧客だったらと視点や立場を変えて考えることができる

この3要素に沿って、世間を騒がせている福田萌子さんのプロフェッショナルについて考えてみましょう。

「自分はこれがベスト!」とポジションを取れる

自分の意見をハッキリと表明せずに玉虫色の答弁を繰り返す官僚の姿にポジションをとった「プロの仕事」を感じますでしょうか?

『バチェロレッテ・ジャパン』で言えば、バチェロレッテである福田萌子さんに求められることはポジションをとる(誰かを選ぶ)ことです。残念ながら出来ませんでした。

「誰も選ばないというポジションをとった」という意見もあるかもしれませんが、誰かを選ぶ前提でプロジェクトは進行していて、本人もそれに同意し参加したのなら、ポジションをとれなかったということでしょう。

逆に17名の候補者の中に自分に合う人がいないのであれば、3-4話ぐらいの序盤で「ロクな男がいない!やり直し!」とリセットをかけたほうが残された時間も多く、ポジションを取り直せる可能性がありました。

ポジションもとらないし、ギリギリになって「やっぱ無理」では、締切間際でお客さんには絶対に出せないクオリティーの成果物を出してくる若手社員のようです。

プロの仕事としては✗でした。

途中で逃げ出さずに最後までやりきる「コンプリートワーク」ができる

コンプリートワークを「ハッピーエンドの絵を撮ること」と解釈しちゃうとNOですが、内容的に前述の「ポジションをとる」と被っちゃうのでそれは除外で考えてみます。

ポジションはとれませんでしたが、本編の収録は最後までやりきったし、アウェイが予想される最終回のスタジオ収録にもキッチリと参加したという意味においては、コンプリートワークはできたと解釈してもいいでしょう。

プロの仕事としては○かな。

自分が上司や顧客だったらと視点や立場を変えて考えることができる

「自分が上司だったらどうするか考えろ」
「自分が顧客だったらどうするか考えろ」
といった“1つ上の視点で考えろ”的な話は聞いたことがありませんか?

もちろん上司や顧客の立場になったことがなければ想像できないかもしれませんが、プロとして良い仕事をするには、相手が何を考えていて自分は何を求められているかは常に自問自答しないと相手の期待に応えることは難しいでしょう。

福田萌子さんは、候補者である17名の男性に対して非常に礼儀正しく、丁寧に対応しておりました。収録中に疲れて、笑顔でいることが辛かったこともあったでしょう。そういったプロ魂を感じ取って視聴者は引き込まれていきました。

しかし、製作者サイドの見据えているゴールや脱落していった候補者の男性たちの立場を考慮して、映像作品として成立させるという視点が最後の最後で抜け落ちてしまったようです。

最後の特別番組でもポジションをとらなかったことについて男性出演者からも突っ込まれていましたが、「真剣に取り組んだ上で出した結論」「私の人生は私が決める」と自分視点の主張であり、プロジェクトチームへの配慮はあまり感じられず、視点や思考の柔軟性という点においてはマチュリティの無さを露呈してしまいました。

プロの仕事としては✗です。

 
 

総合的に考えるとプロの仕事としてはイマイチだったように見えます。

作品はヒットして話題になったが本当にそれでいいのか

プロの仕事としてはどうなの?という流れでここまで進めてきましたが、「福田萌子さんのおかげでここまで話題になって、作品もヒットしたんだから大成功だし、プロとして結果を出したじゃん。」という意見はあるでしょう。

製作者サイドにもそう考える人はいると思いますが、誰か一人を選ぶという前提条件をひっくり返して、想定していたハッピーエンドの絵を撮れなかったことに対して不満を抱く製作者も当然います。

このようなプロジェクト型の仕事は「あの人とは一緒に仕事したくないなぁ」と思われたら声が掛からなくなります。

今回の仕事を踏まえて、福田萌子さんとまた一緒に仕事をしたいと思う製作者サイドの人達がどれぐらいいるのでしょうか。私は中の人じゃないので想像でしかありませんが、仕事視点からみたら一緒に仕事したいとは思えません(恋愛視点からは純粋に良い人が見つかって幸せになるといいですねと思っています)。

映像制作の仕事はBtoC型に見えて実はBtoBtoC型であり、toBの部分で声が掛からなくなると個人でBtoCをやってYoutubeに活路を見出すしかなくなります。

BtoCとは
Business to Consumerの略で、企業(business)が一般消費者(Consumer)を対象に行うビジネス形態のことです。また、企業からまた一つ企業を経由して消費者に商品やサービスがわたるような取引はBtoBtoCと呼ばれます。マーケティングやECの分 野でよく使用される言葉です。
これに対し、企業間の取引はBtoBと呼ばれます。
出所:ビジネス用語集

結局、仕事とは個人の有能さによって成り立つのではなく、人と人の関係の中で生かされているようなものであって、人に嫌われて孤立したら生きていけないのです。

製作者サイドのプロフェッショナリズムはどうだったのか

バチェロレッテの福田萌子さんのプロフェッショナリズムを一方的に見ていてはフェアな議論にはなりませんので、製作者サイドにも焦点あててみましょう。

製作者サイドはポジションとコンプリートワークにはあまり議論の余地はなさそうに見えますが、「自分が上司や顧客だったらと視点や立場を変えて考えることができる」に関しては検討の余地があります。

そもそも番組のフォーマットは輸入物であり、「そういうルールだから」と思考停止でフォーマットにおんぶにだっこということはなかったのでしょうか。

出演者の視点や立場で考えて、ギブアップやリセットの余地について議論がなされずに既存のフォーマットでそのまま推し進めた結果、想定していない事態に陥ったのかもしれません(私は中の人ではありませんのでその真偽を確かめることは出来ませんが、、、)。

逆に言えば、ギブアップ及びリセットの仕組みがあって、福田萌子さんがそれを理解していればプロフェッショナルとして仕事を完遂できた可能性も高くなるのではないでしょうか。

まとめ:再び声を掛けてもらえるような仕事をしよう


今回の考察を通じて、『バチェロレッテ・ジャパン』の後味の悪さの正体が少しは見えたのではないでしょうか。

バチェロレッテの福田萌子さんには厳しい意見になってしまったかもしれませんが、彼女のプロフェッショナリズムはシステムのバグによって発揮できなかっただけという可能性も十分あります。エンディングの直前までは視聴者を魅了できていたのだから、あまりクヨクヨせずに今回の反省を踏まえて頑張って欲しいです(もちろん恋愛も)。

視聴者として楽しませてもらった我々は、「ポジションを明確にすること」と「他者視点で物事を考えること」という教訓を胸に、「あの人とまた一緒に仕事がしたい」と思われるような仕事をして、豊かな人生を築きましょう。

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この記事の元ネタです。プロフェッショナリズムとは何かをジョジョの奇妙な冒険を使って解説していますのであわせて参考にしてみてください。

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