『人を動かす』を『鬼滅の刃』で要約する【デール・カーネギー】

こんにちは、taikiです。

今回は、読者の方からリクエストがありましたデール・カーネギーの『人を動かす』を取り上げます。

デール・カーネギーの『人を動かす』といえば誰もが絶賛する本。この本が面白くないと言おうものなら「あら、やだ、冷たい人!何色の血が流れているのかしら」と評されそうな雰囲気すら感じさせてます。

ホントにそう?

そうじゃない人も当然いたっておかしくないわけです。ホラ!!

すごく良いことが書いてあるのは理解できるのですが、確かに大量のエピソードトークをひたすら垂れ流している感は否めません。

重厚長大な数万行におよぶエクセルのローデータを見せられたら、「で、so whatは?」と言ってやりたくなりますよね。

そんな方のために、飛ぶ鳥を落とす勢いである『鬼滅の刃』の力を借りてコンパクトに要約してみます。

「実は『人を動かす』を読みかけたことはあるけど、挫折しちゃったんだよね・・・」

そんな方は、こちらの記事をぜひ読んで、エッセンスだけでも吸収してください。

『人を動かす』ってどんな本?

この表紙を見たことがある方は多いのではないでしょうか。

自己啓発本としてとっても有名で、国内でも500万部以上売れている名著ですね。

あらゆる自己啓発書の原点となったデール・カーネギー不朽の名著。

人が生きていく上で身につけるべき人間関係の原則を、長年にわたり丹念に集めた実話と、実践で磨き上げた事例を交え説得力豊かに説き起こす。
(中略)
1936年の初版刊行以来、改訂が施されてきた現行の公式版である『新装版 人を動かす』から本編30章を収載した。

出所:amazonの紹介文より抜粋

『人を動かす』は帰納法で書かれた推論

この本を手にとったことがある方、最後まで読みました??

殺人犯が自分の正義を主張する、最初のエピソードを覚えている方は多いと思います。しかし、中盤のセオドア・ルーズベルト大統領の「人の誤りを指摘しない話」を覚えている方は少ないのではないでしょうか。

『人を動かす』は学術論文のような研究報告ではなく、「いろんなエピソードをかき集めてみたけどこうなんじゃねぇ?」という帰納法(※1)を用いた推論です。

☆☆☆
※1
帰納法については、「【要約:考える技術・書く技術】絶対に挫折しないハンターハンター式ロジカルシンキング」の中で、ウボォーギン帰納法としても取り上げています。そちらを参考にしてみてください。

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☆☆☆

帰納法での推論がベースとなっているので、主張の確からしさを担保するにはどうしてもエピソードリッチになってしまいます。このあたりがしつこくて挫折しちゃう原因になっているのではないでしょうか(一を聞いて十を知るような賢い人にとっては特に)。

逆に言えば、主張を理解すれば、全部のエピソードを読む必要はなくなります。

80年以上も前の本なので、情報を削ってコンパクトにまとめる編集技術が現代ほど発達しておらず、「エピソードは多ければ多いほどよい!」と勝負しちゃったのでしょう。

その部分に目をつぶってしまえば、触れているエピソードは物事の本質をついている、といえるものがほとんどです。

だからこそ、現代の考える技術・書く技術を用いて現代要約版にしてあげたら、後世に伝えたかった核の部分を抽出できるのではないでしょうか。

ということで、『鬼滅の刃』を用いて解説する前に、まずはザックリと要約してみましょう。

目次を構造化してみよう

この本は4つのパートと30の原則で構成されています。

30原則!?

3原則の間違いではありません。30原則です。「3の法則知らないの?」という罵声が飛んできそうです。

3の法則:
人間の脳のキャパ的に覚えやすく、思い出しやすいと言われている数字が3であることから、何でも3つくらいにまとめるとわかりやすいという法則

出所:俺調べ(ググってまとめた)

まぁ、普通の人は覚えられないですよね。私も無理です。そういうときは覚えやすいチャンクに区切ってしまいましょう。

chunk チャンク
〔パンや肉などの〕大きい塊、ぶつ切り、厚切り
〔音声や画像ファイルなどの〕ひとまとまりのデータ。

もともと4つのパートに分かれていますが、一旦4つのパートすらもリセットして頭をカラッポ(≒ゼロベース)にしましょう。

頭カラッポの方が〜、夢、詰めこめるぅ〜

おっと、頭カラッポにしたらドラゴンボールが入ってきてしまった。今回はそれじゃねぇんだ。

話を元に戻そう。

30原則のように脳みそのキャパを大きく超えてしまう場合は、似たような情報でグルーピングしてみましょう。

私は一通り本を読んでみて、この本のメッセージは大きくは3つかなぁと考えてブッたぎりました。

3の法則発動です(後付けだけど)。

1つ目は「相手にも正義があることを知る」です。

おそらく誰もが読んだであろう殺人犯が自分の正義を語るエピソードがまさに『人を動かす』の1つ目のメッセージです。

言い換えると、殺人犯の正義のエピソードを読んじゃえば、Part1の「人の立場に身を置く」、Part3の「人の身になる」は飛ばしちゃってもいいでしょう。

どんなに自分が「コイツは間違っている!」と思う相手であっても、相手には相手なりの正義があるわけです。

この本の一番大きなメッセージはこれです。

☆☆
2つ目は「否定せず、認めて、褒めて、関心を持つ」です。

本の中ではいろんな角度から相手の気分を害さずに、褒めて、認めて、関心を持って、気持ちよくさせることの重要性について書いてあります。

自分の話を「へー、すごーーい」と相槌を打ちながらよく聞いてくれるキャバ嬢が提供する価値の半分くらいはこれでしょう(残りの半分は皆様の豊かな想像力にお任せします)。

本の大半を占めていますが、この中からいくつかのエピソードを読めば、『人を動かす』が伝えたいメッセージの核の部分は掴めるはずです。

☆☆

3つ目は「相手がしたいことを理解して、自分のやってほしいことに結びつける」です。

相手の立場に立って、相手に関心を示して気分がよくなってきたら、次に相手が何をしたいかを理解しましょう。

そして、相手のしたいことと自分のしたいことを上手く結びつけて、はじめて人は動いてくれます。

自分のやってほしいことが先に来てしまってはいけません。

☆☆

30原則が3原則になりました。これくらいなら読めそうな気がしませんか?

おさらいしましょう。

  • ①相手にも正義があることを知る
  • ②否定せずに、認めて、褒めて、関心を持つ
  • ③相手がしたいことを理解して、自分のやってほしいことに結びつける

なんとも普通の内容です。

しかし、毎朝決まった時間に起きることが難しいように、頭でわかっている普通のことこそ、実践し継続することが難しかったりします。

これらをもっと身近に感じて、実践しやすくするためにも『鬼滅の刃』の力を借りて理解を深めましょう。

『鬼滅の刃』で読み解く『人を動かす』

ここからは『鬼滅の刃』の中のストーリーを『人を動かす』に当てはめながら、核心に迫ってみましょう。

①相手にも正義があることを知る

『鬼滅の刃』にはいろんな種類の鬼が登場します。

鬼も元々は人間でしたが、さまざまな事情があって鬼になってしまいました。

鬼の事情を鬼視点でキッチリと描くのが『鬼滅の刃』の特徴でもあり、私がこの作品にハマった理由でもあります。

主人公の炭治郎が鬼視点に立って考える部分は、『人を動かす』の教えに一致します。

『鬼滅の刃』2巻より(C)吾峠呼世晴/集英社

『人を動かす』でいうと、まさに最初のエピソードと重なりますね。「鬼の視点にも立ってみようね」と書かれています。

ちなみに、先輩である冨岡義勇は相手の立場なんてものを1ミリも想像できていません。自分を貫くという観点ではもちろんありですが、このような単視点的な物事の見方では、『人を動かす』という点においては機能しません。

ある程度強い剣士にはなれても人を束ねる役目は難しいでしょうし、剣士としてもいずれ伸び悩んで炭治郎に抜かれてしまうでしょう。

『鬼滅の刃』5巻より(C)吾峠呼世晴/集英社

このあたりに書いてあることをガン無視です。

そんなことだから、あっという間に炭治郎に追いつかれて抜かれちゃった。

『鬼滅の刃』17巻より(C)吾峠呼世晴/集英社


↑冨岡さんも認めざるをえませんでした。

②否定せず、認めて、褒めて、関心を持つ

炭治郎は性格が良いです。

とにかく相手を褒めて、素直に感謝の意を評します。

『鬼滅の刃』4巻より(C)吾峠呼世晴/集英社

伊之助も炭治郎の温かい言葉で徐々に打ち解けていきます。

『鬼滅の刃』4巻より(C)吾峠呼世晴/集英社

↓いがみ合っていた伊之助も炭治郎によって動かされます

『鬼滅の刃』4巻より(C)吾峠呼世晴/集英社

炭治郎は敵である鬼にだって、スゲェと思ったら素直に「お前、スゲェ!!」と褒めます。

『鬼滅の刃』3巻より(C)吾峠呼世晴/集英社

敵である鬼も炭治郎の称賛に喜んで、最後に炭治郎のファンになって死んでいきます。

『鬼滅の刃』3巻より(C)吾峠呼世晴/集英社

相手を認めてキッチリと伝える。

伝える部分まで含めてできていますか??

人類はまだ以心伝心を習得する域には達していません。照れくさい言葉でも言語化して伝えるようにしましょう。

そういう照れくさいことも恥ずかしげもなくやってのける炭治郎。『人を動かす』どころか、世間を動かし、『ONE PIECE』を抜いて前人未踏の販売記録を打ち立てました(これは炭治郎というよりも吾峠呼世晴先生の力か)。

ちなみに、鬼殺隊のお館様である産屋敷耀哉は、末端の隊士の名前を覚えていました。

『鬼滅の刃』19巻より(C)吾峠呼世晴/集英社

これは『人を動かす』に書いてある「名前を覚える」ですね。

炭治郎だけでなく鬼滅隊のトップのお館様にも、そのような一面があったことがわかります。

『人を動かす』のエピソードを産屋敷耀哉のエピソードに置き換えても、主旨は伝わるでしょう。

③相手がしたいことを理解して、自分のやってほしいことに結びつける

物語の中に、鬼を治すことを研究している鬼がいます。名前を珠代さんといい、彼女は人間の味方です。

炭治郎と珠代さんの会話の中に、お互いのやってほしいことを擦り合わせるシーンがあります。

炭治郎の「鬼になった妹の禰豆子を治したい」ことを理解して、珠代さんは鬼治療薬の研究として必要だった「禰豆子の血の提供」と「ラスボスである鬼舞辻無惨に近い血の採取」に結びつけました。

『鬼滅の刃』2巻より(C)吾峠呼世晴/集英社

性格のいい炭治郎は、珠代さんが自分のことに関心を示してくれてうれしかったので(?)、下っ端隊員である炭治郎にとって、珠代さんのハードルが高い要求であっても受け止めました。

『鬼滅の刃』2巻より(C)吾峠呼世晴/集英社

『人を動かす』条件が整うと人は自然と動きます。

本の目次で言うとこの辺りに炭治郎と珠代さんのエピソードが入ってもおかしくないでしょう。

こうやって『鬼滅の刃』を見ていると吾峠呼世晴先生が『人を動かす』を読んでなんらかの影響を受けているような気がしてきますね。

まとめ:『人を動かす』のは心から

『鬼滅の刃』7巻より(C)吾峠呼世晴/集英社


今回は『人を動かす』を『鬼滅の刃』のエピソードに置き換えて解説してきました。

名著として語り継がれている現代の古典は、エピソードリッチな帰納法による推論で構成されています。そのスタイルが合わなかった人も、『鬼滅の刃』と重ねることで、同書が伝えたかったエッセンスを感じ取れたのではないでしょうか。

『鬼滅の刃』にはまだまだ『人を動かす』に重ねられるエピソードがたくさんありますが、やりすぎてもこの記事自体が「エピソードリッチの罠(≒しつこい)」に陥ってしまいますのでこのあたりでとめておきます。

この本の教えを一言で表現すると「炭治郎になれ!」です。

「①相手の立場を想像し、②否定せずに認めて、褒めて、関心を寄せて、③相手がしたいことを理解する」

こんなベーシックな行動が、最も難しいことは、炭治郎の苦労を見ているとよくわかりますよね。

炭治郎のように慈悲深く、思いやりを持った人間になってこそ、多くの人を動かせるような影響力を持てるのではないでしょうか。

原題である「How to win friends and influence people」とは炭治郎のことでした。

『鬼滅の刃』の人気の秘密は、あたりまえだけど、真似しようとするととっても難しいことをやってのける、主人公のキャラクターにあったのかもしれません。

以上「『人を動かす』を『鬼滅の刃』で5分でわかるように解説する【デール・カーネギー】」でした。

オマケ

『人を動かす』に興味を持たれた方で、サクッと内容を理解したい方はこちらの漫画版でも十分に理解できます。1時間もあれば読めるような、コンパクトな内容にまとまっています。ぜひこちらから読んでみてください。

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また、本書を読もうとする方は、一気に読もうとせずに時間をかけてエピソードを噛み締めながら読んでみてください。少々時間をかけて味わうタイプの本です。

そして言うまでもなく、これらの本以上にオススメなのが『鬼滅の刃』です。今一番ホットなコンテンツであり、歴史に名を刻む作品をオンタイムで体感することは最高の贅沢です。歴史の証人になれますよ。

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コメント

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