こんにちは。
世間で名著と言われているけど、実際に手に取ると読みづらくて途中で挫折した本ってありませんか?
前回取り上げた企業参謀もそんな本の代表でしたが、今回は更に挫折率が高いと思われるバーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」を取り上げようと思います。
相手に伝わる文章とは何かを説明してくれている本のはずなのに実は非常に読みづらい。
とにかく読んでいてツラい日本語が続きます。
この本のツラさは企業参謀を大きく上回ります。
にもかかわらず名著と言われるんですから何かあるのでしょう。
その何かをわかりやすく人気漫画のハンターハンターの力を借りて解説したいと思います。
挫折しちゃった人もそうでない人もぜひお付き合いください。
実は買ってはいけない本
「バーバラ・ミントは良書」と言っている人があなたの周りにいませんか。
そういう人がいらっしゃったら、その人を今後信用するのは辞めたほうがいいでしょう。
言い過ぎました。ゴメンナサイ。
立場的に押さなきゃいけない人もいますよね。
内容自体はとっても大切なことが書いてあるのですが、非常に読みづらく、企業参謀以上に挫折する人が多い本です。挫折率95%(俺調べ、含む俺)。
↓このリンクは絶対に踏むなよ!
残りの5%は原書を英語で読んだ人と思われます。
少なくとも私がリアルでヒアリングした中では、この本を読破した人はゼロです。
大事なのでもう1回言います。
この本を読破した人はゼロです。
今回、記事を書くためにもう1回手に取りましたが、やっぱり挫折しました。
にも関わらず名著とされるんですから当然何かあるんですよね?
いろいろとこねくり回すのも面倒くさくなってきたので、この本を超訳します。一言です。
ピラミッドストラクチャー
ああ、言ってしまいました。
これを理解すればこの本は卒業です。
挫折率95%(俺調べ)にもかかわらず、世の中には考える技術も書く技術も習得している人はたくさんいます。
私もまだまだ未熟とは言え、文章がわかりやすいとはよく言われますし、お金を払ってでも読みたいと言ってくれる方がいらっしゃるぐらいですから、書く技術もある程度はあるのでしょう。
そこで考えました。
『「考える技術・書く技術」を読んでピラミッドストラクチャーを習得する』のではなく、『ピラミッドストラクチャーを習得することによって「考える技術・書く技術」を読んで理解したこと』にすればいいのではないでしょうか。
MECEとかロジックツリーとかも思い浮かんじゃう方もいらっしゃるかもしれませんがそれはそれ。まずはピラミッドストラクチャーから。
とうことで、ピラミッドストラクチャーについてハンターハンターの力を借りて丁寧に解説していこう。
ピラミッドストラクチャーとは「なんで?」と「それで?」
まずは、ハンターハンターに入る前にピラミッドストラクチャーとは何かを復習しておきましょう。
このブログを読んでいるような人は、この図を見たことありますよね?
ある主張にたいして「なんで?」とツッコまれたら「こういう理由だから」と回答できることであり、ある話に対して「それで?」とツッコまれたら「つまり、こういうことだ」と意図を伝えることです。
下段の箱は1つだとさすがに弱いですが、2つ以上あればなんとかそれっぽくなります。
この視点を持ってハンターハンターを見ていきましょう。
ここからはネタバレもあるのでご注意ください。
ストーリーを知らない・忘れた人のために
ハンターハンターを読んだことがない人、読んだけどもう忘れちゃった人向けに概要を共有しておきます。
ストーリー概要:
クラピカは、クルタ族の生き残りです。
クルタ族は幻影旅団という盗賊団に惨殺されてしまいました。
クラピカは復讐を誓い、遂にヨークシンという街で幻影旅団と遭遇することになりました。幻影旅団は、団長のクロロを筆頭に13人のメンバーで構成された凄腕盗賊団です。
その一方でクラピカは1人。
クラピカはどうやって幻影旅団と戦っていくのでしょうか。
クラピカの用いたウボォーギン帰納法
ストーリー概要:
クラピカは、幻影旅団戦の初戦に強化系ブルファイターのウボォーギンと戦うことになります。
↑ウボォーギン
クラピカは、なんとなく流れでウボォーギンと戦ったわけではなく、自らが理由を持ってウボォーギンを相手に選びました。
その理由は、①クラピカが1対1を臨んだ(1対複数を避けた)、②ウボォーギンが1対1を好むファイターだった、③強化系に自分の能力(鎖)を試してみたかったの3つです。
↑自分の希望通り1対1の戦いに持ち込むことが出来ました。
↑初戦ということもあって、クラピカも確実に勝ちたかったのと今度の戦いを見据えて情報収集しておきたかったという意図を感じます。
図解するとこんな感じです。
更に、ここまで読んで頂けている方でしたら帰納法と演繹法という言葉はご存知でしょう。
クラピカはウボォーギンと戦う際に、先の戦いを見据えて帰納法を用いて思考していることが伺えます。
帰納法
複数の特定事象(前提)から要約(結論)を導くロジック展開。結論は、常に推論となる。絶対的な真実ではなく、前提から導かれた「論理的に」正しい推論。
出所:『「入門 考える技術・書く技術」帰納法の仕組み』を元に作成
クラピカは、自分の能力を幻影旅団にしか使わない制約とその約束を破ったら死ぬという誓約により、幻影旅団用にチューンナップしました。
幻影旅団特化型で、汎用的な能力よりも圧倒的に強いカスタマイズです。
それでも不安なので、賢いクラピカは帰納法で推論します。
幻影旅団用に制約と誓約で強化しちゃったから、あいつらを捕まえるには十分な強度はあるだろう。
逆に言えば、強化系の力が強そうな奴に通用すれば、全員に通用するってことだよな。
よし、一番力が強そうな奴に一番最初に試してみよう。
こうやって思考を積み重ね、不確実性の中で自分の勝利に向けて仮説を立てました。
図解するとこんな感じです。
ロジカルシンキングの本を読んだことがある方は必ず見たことのある帰納法そのものです。
ちなみに「入門 考える技術・書く技術」によるとビジネスに登場するロジカルの7-8割は帰納法とのことです。
ぜひマスターしてください。
パクノダとクラピカのロジカルバトル
ストーリー概要:
幻影旅団と1人で戦っていたクラピカですが、ヨークシンシティで旧友のゴン・キルアと再会しました。旧友の力を借りて、幻影旅団との決着をつけようと戦いを挑みました。
しかし、仲間のゴンとキルアが人質にとられてしまいました。
クラピカは機転を利かせてホテルの停電を利用し、逆に幻影旅団のボスであるクロロを人質にとることに成功しました。
この場面で幻影旅団のメンバーであるパクノダは、得られた断片的な情報から対戦相手のクラピカ像を想定し、次の展開について思考を巡らせます。
↑パクノダちなみに、パクノダは人に触れるとその人の記憶を読み取れるという特殊能力を持っています。
①②パクノダはゴンとキルアに触れて読み取った記憶情報と眼の前でクロロがさらわれる過程から、直接会ったことのないクラピカに対して思考を巡らし、頭脳派の一筋縄ではいかない強敵であると理解します。
③そのうえ、敵には感情を読み取る能力者がいて、嘘をついたらすぐにバレるとことにも気付きます。
①②③からクラピカの言うことを聞かないとボスであるクロロの命が危ないという結論に辿り着きました。
ピラミッドストラクチャーで表現するとこんな感じです。
この後、パクノダはクラピカの言うことを聞いて上司であるクロロを救うのか、幻影旅団の掟に則ってクロロを見捨てて幻影旅団という組織を残すことを選択するのかという究極の難題を突きつけられます。
まるでマイケル・サンデルの白熱教室(※)ですね。
(※「1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか?」みたいな難問にどう取り組むかを考える授業。詳しく解説するとそれだけで終わってしまうので、またの機会に。)
この結末は、各自コミックをみてご確認ください。
クロロ拉致後のクラピカの思考
ストーリー概要:
クラピカは幻影旅団のボスであるクロロを捕らえることに成功しましたが、仲間であるゴンとキルアは人質として幻影旅団に捕らえられてしまっています。ここで、己の復讐を優先させるか、仲間の命を優先させるかの決断を迫られます。
決断に至った要素は2つありました。
①幻影旅団の頭を倒しても幻影旅団は壊滅しない
↑ボスを倒しても幻影旅団を倒せない、即ちクラピカの目的を達成出来ないことがわかりました。
②恵まれた仲間をこれ以上失いたくない
↑今のクラピカにとってはゴン・キルアは最高の仲間です。
↑かつての仲間を失ったことを思い出しました
その結果、クロロ殺害を諦めて大切な仲間であるゴンとキルアを助けることを最優先事項にして決断しました。
ピラミッドストラクチャーで展開するとこんな感じです。
具体的なシーンを取り上げるのはここまでです。
ピラミッドストラクチャーとは何かがなんとなくわかりましたでしょうか。
絶対に挫折しないロジカルシンキングのトレーニング方法
ハンターハンターの中に散りばめられているピラミッドストラクチャーを中心としたロジカルシンキングはここでは紹介しきれないほど存在しています。
ロジカルシンキングの演習問題を解くのもいいですが、コミックの中にあるロジカルシンキングを見つけ出すことが良い訓練になります。
他人のロジック構造を見抜けるようになることがロジカルシンキング習得に向けた第一歩です。
ステップ1:思考シーンを見つける
登場人物が考え込んでいるシーンは文字が多めになります。そんな場面に遭遇したら立ち止まって、どのような思考をしているのか分解してみましょう。
少なくとも冨樫先生は漫画を書く際に、論理展開の整理をしているはずです。(それをやらないと絶対に書けない)
作品を通じた作者との対話と思って考えてみましょう。
ステップ2:分解してみる
それを実際に見つけたら紙に書き出してみましょう。
ここで実際に手を動かして、考えを言語化して紙に落とすことによって、視覚的にピラミッドの上下や左右が見えるようになります。
コンサルタントは紙とペンで泣きながらこれを繰り返すことによってロジカルシンキングを習得していきます。
手を動かして書き出してみて、あーでもないこーでもないと試行錯誤した方が結果的に早く習得出来るでしょう。
論理的な考え方は誰がやっても同じ構造になります。センスや才能が必要な分野でもありません。
訓練をすれば誰でも出来るようになりますので、めげずに頑張りましょう。
まとめ:わかりやすい話は必ずわかりやすい論理構成が背後にある
いかがでしたでしょうか。
そもそも「考える技術・書く技術」を読む目的はなんでしょうか。
自分の意図を口頭でも文章でもわかりやすく伝えて、コミュニケーションを円滑にすることが目的ですよね。
クラピカの思考がきれいなピラミッドストラクチャーになっているからこそ、読者にその想いが伝わります。
「考える技術・書く技術」を読んだけど途中で挫折してしまった方で、もう1回本を手にとって読み直そうと考えた方もいるでしょう。
そんな方は本を再び手に取らずに、あなたが好きな漫画を手にとって見て、ピラミッドストラクチャーになっているシーンを探してみてください。
「ロジカルシンキングが出来るようになりたい」、「コミュニケーション能力を高めたい」と思っている方は、小難しい書籍を読むよりも既に読んだことのある漫画や小説の中から該当するシーンを抜き出すことのほうがよっぽどいいトレーニングになります。
なんとなく読んでいた漫画を違った視点を持って読み直し、新しい気付きを得てください。
以上、「【要約:考える技術・書く技術】絶対に挫折しないハンターハンター式ロジカルシンキング」でした。
オマケ
読みやすい「考える技術・書く技術」
この記事を通じて、皆さんの本棚の奥の方で眠っているバーバラ・ミント「考える技術・書く技術」はもう不要になりましたよね?
燃やしてしまいましょう(笑)
これを機に興味を持たれた方は、こちらの本の方が圧倒的にわかりやすくまとまっています。
「考える技術・書く技術」の翻訳者が改めて書いた本ですが、はじめにの部分で「考える技術・書く技術」は読みづらい的なことを自ら認めていることもあり、こちらをオススメします。
正解のない究極の難問
記事の中で取り上げた正解のない究極の難問に特化した人と言えばマイケル・サンデルですね。せっかくなのでこちらも合わせてどうぞ。
そしてハンターハンターです。今回の本の中で一番読んだほうがいいのはコレです(断言)
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ロジカルシンキングが出来たら、フェルミ推定も学びましょう。HUNTER×HUNTERで学べます!
大学卒業後、ファンド・コンサルで10年以上働いて独立しました。今は、個人でコンサルやりながらニッチなメディアの運営を行っております。詳しいプロフィールはこちら。
コメント
[…] イシューを特定できたら、その後の仮説検証で活躍するピラミッドストラクチャーについても学んでおきましょう。 […]
[…] ☆☆☆ ※1 帰納法については、「【要約:考える技術・書く技術】絶対に挫折しないハンターハンター式ロジカルシンキング」の中で、ウボォーギン帰納法としても取り上げています。そ […]
[…] 『HUNTER×HUNTER』の力を借りてバーバラ・ミントの『考える技術・書く技術』を解説しています。社会人の必須技術であるロジカル・シンキングもあわせて身につけましょう。 […]
[…] 詳しい学習方法は他のサイトにおまかせしますが、当サイトとは絶対に被らないロジカル・シンキング学習法の記事もあわせて訓練してみてください。 […]
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