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「オッス、オラ悟空!オラのせつめーがわかりやすいって評判だから調子にのって事業再生についても説明すっぞ」
はい、冗談です。
ドラゴンボールPEファンドシリーズが好評なので、PEファンドに親和性が高く、近い領域である事業再生(本職の方々は別物と仰るかもしれませんが、入門者向けということでお許しください)についても説明したいと思います。
事業再生にも段階がある
「事業再生」という言葉には明確な定義があるわけではありませんので、まずは目線合わせをする必要があります。
今回は事業再生にはザックリと3段階あると考えて整理していきましょう。
事業再生の3段階とは簡単に言ってしまえば、この3つ。
- 自力でなんとかなる段階
- プロに依頼すればなんとかなる段階
- どうやってももう手遅れの段階
それぞれの状況をPL・トレンド・BS・Cashの視点で簡単にまとめるとこんな感じ。
それぞれをもう少し掘り下げて見ていきましょう。
自力再生フェーズ
事業は黒字が出ていて、会社としても経営としては健全な状況。
しかし、足元の業績は少しずつ下がってきているし、このまま行くとジリ貧なのは誰が見ても明らかみたいな状況です。
こういう時は経営コンサルタントの出番です。
純粋にコスト削って事業戦略を見直して、どうやったら勝ち残ることが出来るかを必死に考えます。
資金にも詰まっているわけではないのでPEファンドの出番はありません。
銀行の無能な担当者も「まぁ、黒字だから大丈夫だろ」と騒ぐこともないでしょう。
ドラゴンボール的に言えば、これぐらいの怪我。神龍を呼ぶ必要はないです。
そして、事業再生全てにおいて言えるのですが、残念ながら仙豆的な一瞬で解決するようなアイテムはありません。
↑事業再生は一気に回復する仙豆はなく、メディカルマシーンが近い
手遅れフェーズ
順番的には「プロに依頼すればなんとかなるフェーズ」の説明ですが、先にこちらを説明した方が理解しやすいと思われますので、手遅れフェーズから説明します。
この段階になると会社の中は↓こんな状況でもはや手遅れです。
- 事業は赤字で黒字転換は相当ハードルが高い
- 借入金が過大で返済見込みはない
- 債務超過もしくは実態的に債務超過(あとで詳しく説明する)
- あと数週間で資金ショート
ここまで来ちゃうと何をやっても焼け石に水!
どんなに凄腕の再生屋さんが来ても無理なものは無理です。
仮にドラゴンボールで神龍を呼び出して「借金をなくしておくれ!」とお願いして、無借金になったとしても(≒法的整理)事業自体が赤字であっては新規の融資は入ってきませんし、新しいスポンサーも付きません。
こんな会社には誰も手を出したくないでしょう。
ドラゴンボールで言えば、ナッパ戦における天津飯の絶望感でしょうかね。
腕をもがれて劣勢の天津飯をみてピッコロのこのセリフ。
↑このディールはやめろという上司と会社の人達に気持ちが入りすぎて諦められない部下
さすがにこんなになっちゃうと無理です。
プロに依頼すればなんとかなる段階
自力でなんとかなりそうなフェーズともう手遅れフェーズを紹介しましたが、プロに依頼すればなんとかなるフェーズはその中間にあります。
だいたい、2つのパターンのどちらかでしょう。
- 事業は黒字だけど、借金が過大で返済が追いつかない
- ある事業は黒字だけど、他の事業が赤字で会社が回らない
つまり、事業単体で見れば収益を生んでいるけどそれ以外の要因(他の赤字事業、過大な借金)によって利益が大幅に圧迫されているケースです。
「赤字事業を切り捨てる」「過大な借金を減らす」ことが出来れば蘇ることが出来ます。
赤字事業を切り捨てる
儲からない事業は辞めるか、誰かに譲渡するなりしてさっさとやめましょうという実にシンプルな話です。
話としてはシンプルなはずなのに、赤字事業が創業の事業だったり、OB含めた多くの従業員の想いが乗っていたりとエモい要素が加わってくると簡単には行きません。
事業の撤退、売却、リストラは誰だってやりたくないから先送りになってしまいます。
「赤字事業を切り捨てる」をドラゴンボールで例えるなら動けなくなったナッパです。
↑不採算な赤字事業
事業部が2つ(ベジータとナッパ)あった株式会社サイヤ人の1つが赤字に陥ってしまいました。
事業部長兼社長のベジータは合理的に考えて冷酷に切り捨てました。
↑こういう合理的な判断が出来る経営者だと会社は傾かない
残念ながら世の中はベジータばかりではないので、第三者が介入しないとにっちもさっちもいかないところまでダラダラと行ってしまうわけです。
過大な借金を減らす
過大な借金を減らすに関しては、特殊な技を使うしかありません。
その特殊な技とは開き直って返さないで免除してもらうことです。
要は踏み倒す!
話し合いで踏み倒す(私的整理)場合もあれば、ドラゴンボールを使って神龍を呼び出す(法的整理)場合もあります。
↑法的整理で債権放棄することは神龍に「借金をなくしてくれ」とお願いするようなもの
詳しくは後ほど銀行調整の部分で説明しますが、重たすぎる借金がある時は最終手段として神龍が用意されています。
もちろんドラゴンボールを集めるのが大変なように、神龍を呼び出す(法的整理を使う)ことは弁護士や再生屋のプロの力が必要で大変です。
本来なら使わないほうがいいことは明らかです。
ちなみに、アメリカでは神龍のことをChapter11(米連邦破産法第11条)と呼びます。
↑アメリカ版神龍は見栄えは少し違うけど本質的には同じ
事業再生の流れ:前半戦
ここからは自分たちが事業再生に取り組むPEファンドと仮定して考えていきましょう。
あなたが所属しているPEファンドに事業再生案件が持ち込まれました。
まずは案件に対してザッといけるかどうかの初期審査を行います。
「いけるかも!?」と思えたら次の段階のDue Diligence(デューデリ、以下DD)に進んで、対象会社を丸裸にしていきます。
Due Diligenceとは
投資やM&Aなどの取引に際して行われる、対象企業や不動産・金融商品などの資産の調査活動
出所:Wikipedia
DDの結果を踏まえて、関係者(主に銀行)と調整を行った上で投資実行になります。
初期判断からDD、その先のプロセスはこんな感じで流れていきます。
更にDDをブレイクダウンすると「ビジネスDD」「財務DD」「法務他DD」(その他は不動産等の対象会社の保有の資産による)を実施し、DD結果を踏まえて、ディールの総額とどうやって投資するかといったストラクチャーを固めていきます。
事業再生チームはプロジェクトマネージャーとして全体をコントロールしつつ、各パートのサポートを行います。
当然、事業再生チーム(PEファンド)は各分野のプロフェッショナルと共通言語を持って会話が出来なくてはいけません。
必然的にビジネス・財務・法務といった幅広い知識を求められます。
Due Diligence1 事業計画策定
真面目に1つずつ話していくといくら時間があっても足りないので、ザーーーっと雰囲気だけ伝わるように説明します。
DDの目的は、事業計画(PL/BS/CFの財務3表)を作って企業価値を算出することです。
そのために、現実的な事業計画(カッコよく言うとリバイバルプランとかフェニックスプランとかZプロジェクトとか呼び方はいろいろある)を作り込んでいきます。
ビジネスDDチームは主に営業利益までの売上収支計画を策定します。
財務(含む税務)DDチームは、貸借対照表(以下BS)を精査して資産の部に計上されているガラクタを減損処理した実態BSを作成します。
実態BSとは:
不良在庫、焦げ付いた債権、生産設備、土地、金融商品といった資産を時価評価したリアルな実態を把握する為のBS。
資産によっては、不動産DDチームも呼びますし、巨額なソフトウェアが資産計上されていたらその手のプロにも見て頂き、資産性を評価します。
法務DDチームには契約関係を見てもらい、簿外に恐ろしい負債が隠れていたり、契約のリスクがないかを精査してもらいます。
図にするとこんな感じ。
各分野のプロが同時に動くため、お祭り状態になり、検討先企業の会議室をプロジェクトルームとして占拠します。
当然、社内では「いよいよこの会社はやばいらしい」と気付きはじめます。
ドラゴンボールで言うとフリーザと闘うために、ベジータと手を組んだシーンでしょうか。
フリーザ(≒倒産)という強大な敵と闘うためには、地球人とかサイヤ人といった人種(≒所属)にこだわらずにいろんな人の力が必要です。
Due Diligence2 資金繰り表を作る
一方で、再生案件になるともっとも気にしなくては行けないのは現預金残高、キャッシュです。
どんなに赤字の会社であっても現金があれば倒産はしません。
今ある現金でどこまで生存出来るのかを資金繰り表を作成して「X Day」を求めます。
多くの案件では、その月の25日や月末といった大きな支払いが来るであろう日にX Dayを迎えることになります。
資金繰りがタイトな場合、早く回収出来る項目はないか、支払いを遅らせることが出来る項目はないかといった視点で資金繰り表とにらめっこです。
↑資金繰り表を作成して青ざめることは事業再生あるある
事業に支障が出ない範囲(←コレ重要)で支払いを遅らせて延命処置をした上で、投資実行までの検討期間がどれぐらいあるかを割り出せると払込実行までのスケジュールが見えてきます。
だいたい、死にそうなぐらいタイトなスケジュールが分かるだけで、メンバー全員が青ざめます。
↑来週末で100億円足りないことがわかった時
ストラクチャーと企業価値
各分野のプロフェッショナル達が仕事を終えて、事業計画が出来てくるとおおよその企業価値が見えてきます(DCFや類似企業比較といった算出方法はまた別の機会に)。
企業価値が見えてくると重たい借入金とのバランスを見ながら、どれぐらいの債権放棄が妥当なのかを考えます。
ここで使うのが以前のPEファンド編でも登場したこの式。
事業再生でPEファンドが投資検討するような案件は株式価値は備忘価格(≒0円)であることが多いでしょう。
備忘価額(びぼうかがく)
会計学用語で、元来は、何らかの事由により実質的価値を失った資産等を帳簿等に記載する際に用いられる、1円、10円など僅少なキリの良い数字(ラウンド・ナンバー)の金額を指す。価額を0円とすると簿外、すなわち帳簿上はその資産は存在していないことになり、会計上の手段による把握が困難になるおそれが生じる。
このため、実質的に価値喪失した資産を会計上記録する手段として、備忘価額を設定して、その資産が存在することを帳簿に残しておくことが古くから企業会計実践において行なわれていた。
出所:Wikipedia
事業計画から算出した企業価値と有利子負債の額と株式価値を統合して考えます。
話をわかりやすくするために、こんな条件だったと仮定しましょう。
- 事業計画から算出した企業価値 30億円
- 株式価値 債務超過の為 0円
- 純有利子負債総額 100億円
当然、バランスしません。
逆に言えば、バランスさせちゃえばいいのです。
つまり、純有利子負債を70億円チャラにして、30億円にしちゃえばいいのです。
銀行にお願いして、借金を70億円割り引いてもらいましょう!!
それと同時に、投資ストラクチャーを固めはじめます。
株式を買ってくるのか、必要な部分を切り出して別会社にするのかといった買い方の部分や買うお金をどうやって調達するのかといった資金調達の部分ですね。
この部分も詳しく話し始めるといくらでもページを使っちゃいますのでまたの機会に。
事業計画が固まってくると「いくら」で「どうやって買うか」も固まりはじめます。
もちろん、いろんな事情により事業計画を再度見直して評価額をあげたりといったことは行います。
これをグルグルと回し続けていると数値が固まってきて、正確な金額が見えてきます。
ここまでくればあと一息。
銀行調整:サンドバッグ状態
買収価格や必要な債権放棄額がわかってディールの全体像が見えてきたら、いよいよ借金が返せないことの証明書(≒事業計画)を持って銀行に相談に行きます。
当然、銀行に快く迎え入れられるはずがありません。
激昂され、罵倒されます。
サンドバッグ状態です。
はい?そんなこと言われても困りますよ。全額返済出来るような事業計画考えてください。
現在の経営陣はどうするんですか?そもそもこの計画もうまくいくんですか?
↓担当者の想い。
こんなやり取りをしながら、銀行からの重箱の隅をつつくような細かい本質をつかない質問に対応します。
偉そうにふんぞり返る銀行マンに毎日いびられますが、銀行に引き上げられたらこれまで積上げてきたいろんなものが一気に崩壊するので、我慢です。
金貸しとしての本性があらわになります。
↑債権放棄を依頼した後の債権者集会の雰囲気
銀行との細かいやり取りはスケジュールがタイトなこともあり、毎日残業です。
迫りくる倒産の前では労働基準法もなければワークライフバランスも働き方改革もありません。
この瞬間は超絶ブラック企業です。
このあたりで話し合いが合意して法律の枠組みを使わない私的整理(事業再生ADR、裁判外紛争解決手続ってやつですね)で済む場合もありますが、並行して、倒産系弁護士の先生方にスタンバイしてもらって、法的整理に突っ込んだ場合のシミュレーションを実施します。
↑話し合いでの合意が見えずに、法的整理に突っ込む直前の人
これがマスコミに漏れると大変な事になりますので、限られた範囲内で行われます。
それでもよくリークされますが、、、
追記:
JALのタスクフォースメンバーであった冨山さんがバンクミーティングの様子を語ってくれています。「銀行との関係では開戦」。
バンクミーティングを召集すると、言わば過剰債務宣言ですから、銀行との関係では開戦。ここで一番怖いのは一部の銀行が抜け駆け回収に走り取り付けになって無秩序に破綻するリスク。高木先生以下の他のタスクフォースメンバーは必死にそこをしのぐのが来週までの戦い。これもギリギリの防衛戦。 https://t.co/Snit5qITwd
— とやまかずひこ (@TKAZ15392397) August 31, 2020
債権放棄と投資実行
いろんな段取りが整ったら、いよいよ投資実行です。
ここで理解しておいてほしいのが、会社は死んでしまったとしても事業は生きているということです。
売上も支払いも両方発生します。
民事再生を申請したところで、事業は止まりませんし、金融負債(≒銀行からの借入)が事業負債(買掛金、未払金等)に勝手に劣後するわけでもありません。
取引先に迷惑を掛けてしまっては、その後の取引は現金支払限定に制限されて、事業に支障をきたします。
そうならない為にも法的整理の申請前に取引先企業には多めに支払いをしてしまい、その後の取引が止まらないように配慮する必要があります。
十分な運転資金と取引先への配慮がないと事業が大きく毀損してしまうのです。
こういった細かい配慮がたくさんあった上で法律の枠組みを始めて使えることになります。
それらを乗り越えて始めてスポンサーが付き、会社が生まれ変わって、新会社としてスタートすることになります。
↑こういった細かい配慮がないと事業が棄損する
事業再生の流れ:後半戦
投資を実行していろいろと落ち着いたら、後半戦です。
テコ入れ
会社が綺麗になったとは言っても、もともと破綻したポンコツの会社です。
黒字が本当に定着するのかを見届けないと安心できません。
取締役会を開催して、月次決算をキッチリと回すことから始まります。
予実管理をしっかりと行い、事業計画に則って決められた施策をコツコツと積上げます。
予実管理は慣れるまでは精度は粗いかもしれませんが、本質的には黒字事業+身軽になったBSなのでキャッシュフローは出ます。
これを1年も運営していれば予実の精度も少しずつ上ってきて、会社も健全にまわるようになるでしょう。
↑慣れないうちは予実管理も大変
スポンサー選定〜売却実行
会社も安定して次の段階に入ってくるとPEファンドは売却プロセスに入ります。
ずっと保有を続けてもっと成長させればもっと儲かると考える人もいらっしゃるでしょうが、PEファンドには投資した会社を筋肉質にすることは出来ても、売上を成長させることが出来るほど万能ではありません。
次なる成長を牽引するパートナーは、実際に事業を営んでいる事業会社でしょう。
PEファンドの仕事は、傾いた会社を事業会社が買収しやすいように整えることです。
↑また死んで(倒産して)再会なんて誰も望んでいませんが、こんな気持ちで次の案件に向かいます
ものすごく駆け足で再生案件を紹介しました。
ザックリとこんな感じです。
事業再生FAQ
事業再生と企業再生って何が違うのか
「事業再生」と「企業再生」には明確な定義は特になく、曖昧に使われています。
その一方で、感度の高いプロフェッショナルな方は明確に使い分けています。
事業再生:事業自体を持続可能な状態にすること
企業再生:法人を持続可能な状態にすること
事業再生を仕事にしている方は、法人を持続可能にすること自体に意味はないと思っている方が大半です。
必要とされているビジネスが継続することに意味を見出しているので、企業再生という言葉は好まないでしょう。
純粋なコンサルタントだとクライアントである企業の存続の為に知恵を絞りますが、事業再生に携わっている人達はクライアントの為にというよりも事業存続の為という意識の方が多い気がします。
クライアントに寄り添うエージェント型のプロフェッショナルと自分が正しいと思ったことを追求するプリンシパル型のプロフェッショナルの違いでしょうか。
些細な言葉の違いですが、事業再生に携わる人の矜持が宿っているのでしょう。
売却しちゃったら事業再生と呼べるの?
事業再生の定義は人それぞれですが、事業再生に携わる人は資本的独立を勝ち取ることを事業再生と捉えている人はいないでしょう。
ちなみに不採算事業を切り捨てて、BSを綺麗にして、取締役会が正常に機能して、事業会社が買えるように整えるだけでも物凄い大変ですし、大きな価値があります。
事業再生ってどれぐらい忙しいの?
死ぬほど忙しいです。
毎日タクシーで帰ります。
資金繰り表を見ながら、↓こんなことをイメージしたら今の自分がやっている仕事がどれだけ重たいか想像出来ますよね。
次の25日が山だなぁ、逆算すると今週中には銀行と話をまとめないと従業員の給料が払えないなぁ
ワークライフバランスとか気にする人は向いてないのでやめておきましょう。
事業再生といってゾンビ企業を延命させてるだけじゃないの?
ゾンビ企業(ゾンビきぎょう、あるいはゾンビ会社、英語: Zombie company)
経営が破綻しているにもかかわらず、銀行や政府機関の支援によって存続している企業・会社のことである。
出所:Wikipedia
事業再生を仕事にしている人達は、会社を持続可能な状態に持っていくことを再生と考えています。
ゾンビ企業の延命か事業再生かは、その会社のキャッシュフローの変化をみて判断しましょう。
ちなみに民間企業の事業再生をやっているPEファンドやコンサルティングファームにはゾンビ企業を存続させるほどの体力(≒金)はありません。
ゾンビ企業がゾンビとして存続するには政府機関の支援が必要でしょう。
もし、政府機関からの支援にてゾンビ企業が存続していたとしたら、あなたが払った血税によって作られたゾンビです。
ゾンビ企業をつくっているのはあなたも含めた我々国民なのです。
再生案件において経営者ってどうやって選ぶの?
おそらくこのあたりのどれかでしょうか。
- 現在の経営者を続投
- 内部昇格
- 外から連れてくる
- ファンドの人
債権放棄が絡んじゃうと流石に「現在の経営者を続投」は難しいでしょう。
外部から連れて来るが本命で、売却するタイミングで内部昇格を検討するぐらいでしょうかね。
まぁ、投資先の企業の状況によるのでなんとも言えません。
↑こればっかりは、運と縁とタイミングの問題です
事業再生をやってみたい人に知っておいてほしい話や知識
ここまで読んでいただいた方は、事業再生とかPEファンドに興味持っている方ですよね?
転職する前に抑えておくとスムーズに業務に入っていくことが出来ますよ。
債権放棄周辺の知識
事業再生独特の知識やノウハウは私的整理や法的整理といった債権放棄にまつわる部分でしょう。
借金を踏み倒すというダイナミックな手法ですが、普通の人は合法的に借金を踏み倒す方法なんて知らないですよね。
また、合法的に借金を踏み倒す際の債権者あるあるも普通の人は当然知りません。
このあたりは民事再生法や会社更生法の概要だけでも抑えておくと倒産系弁護士の先生との会話がスムーズになります。
しかし、残念なことにこの手の書籍は専門家が専門家向けに書いている本が多く、実務が伴わない段階ではイマイチよくわからないでしょう。
興味があるディールを紐解いていく形でケースを通じて学習する方法が効率的です。
会社分割とかM&Aの知識
主にコンサル、事業会社出身者の方は会社分割や組織再編みたいな話をある程度理解しておくといいかもしれません。
会社をガチャガチャといじって、最適な形にする方法がある程度わかっていれば、細かいスケジューリングはプロの方々にお願い出来るので、会話についていける程度の知識は覚えておきましょう。
残念なことに、この手の話も債権放棄と同じで、書籍を読んでも実務が伴わないと学習には限界があります。
実際に自分が関わったディールだったり、自分が注目をしていたディールの実例から学んでいく方が効率的です。
数値感度の話
所属する業界によって取り扱う数値の感度は大きく異なります。
経営コンサルの世界では、細かい数値の精度よりもザックリと大きく捉える感度が求められます。
逆に会計士の方は、1円単位でバランスしないとダメといった1円単位の感度が求められます。
事業再生は、どちらかというと後者の細かい話が多いです。
理由としては、債権放棄を銀行に説明する際に細かい数値の説明を求められるからです。
そもそも銀行自体が1円ズレたら大問題の業種ですし、その銀行で債権放棄に関する社内稟議を通すとなるとハードルが相当高いことはここまで読んで頂けるような方であればなんとなく想像できることでしょう。
「ざっくり70億円ぐらい債権放棄よろしく」では流石に通りません。
また、VCとかPEファンドの人達も1円単位の議論はなかなか行いませんし、そのような精度を求められると「そんなに細かくする意味ある?」みたいに思う方もいらっしゃるでしょう。
住む世界が違うので、モノサシが異なるわけです。
ザックリとした荒々しい世界から来た人は戸惑うかもしれませんが、債権放棄に伴う儀式と思って適応しましょう。
組織論、スキル論ではない人間のエモさに対する理解
事業再生をやる上で、ビジネス、財務、法務といった知識が求められることはこれまでにも散々述べてきました。
しかし、それらの知識があなたを助けてくれるのはせいぜい半分程度であって、残りの半分は人間のエモさに対する理解です。
エモいは、英語の「emotional(エモーショナル)」を由来とした、「感情が動かされた状態」、「感情が高まって強く訴えかける心の動き」などを意味する日本のスラング(俗語)、および若者言葉である。
出所:Wikipedia
冷静に考えれば赤字になった事業はやめればいい。けど簡単にはそうならない。
人間は必ずしも論理的に正しいと思われる行動をとるわけではありません。
人間の集合である会社組織は、機械ではなくエモい人達の集合体です。
高学歴エリートのロジカルバカではエモい人達の集合体は動いてくれません。
こちらを読んで学んでください。
知識やスキルも大事ですが、人間力や人間に対する洞察力があって活きてくる局面ばかりですので、深みのある人間になることも忘れずに!
著名な事業再生系のファーム
参考までに事業再生系の代表的なファームを紹介しておきましょう。
コンサルだったり、ファンド機能も持っていたりとファームごとに様々ですが、いろんな形で事業再生に携われるでしょう。
経営共創基盤、フロンティア・マネジメント、アリックスパートナーズあたりではないでしょうか。
また、PEファンドでも案件次第では事業再生に取り組むことは十分可能です。
まとめ:事業再生のプロといってもなんでも出来るわけじゃない
事業再生といっても実際に外部の人間がやってきて成果を出せるのは、ある程度限定されています。
その一方で、「意外とリスク取れないんじゃん」と思った方も大間違いです。
実際に事業再生案件の資金繰り表を目の前にすると痺れるし、震えます。
頼んだ資料がサッと出てこなかったり、月次決算をマトモにやっていなかったりする企業も多く、データを揃えて、現状を定量的に把握するだけでも一苦労です。
荒々しい乱暴な説明ではありましたが、今回の記事で事業再生の全体像はつかめたのではないでしょうか。
興味がある方は恐れずに事業再生の世界に飛び込んでみてください。
プロの経営者を目指すにしても破綻寸前の企業の経験はきっと役に立ちますよ。
以上「事業再生をドラゴンボールで解説する」でした。
事業再生系のファームへの転職に興味を持たれた方へ:
事業再生系のファームとなるとプロフェッショナル系のエージェントがおすすめです。
コンサルタント業界特化のアクシスコンサルティングであれば間違いなく情報を持っているし、人材を送り込んだ実績もあるでしょう。
金融関連に強いコトラはPEファンドとのコネクションも紹介実績も豊富です。ファンドの事情や特色・カルチャーも踏まえた情報を抑えています。
PEファンドからの事業再生に興味ある方はぜひコトラに登録して情報収集してみてください。
この2つで十分カバー出来ると思います。
この手の求人は人気がありすぐに埋まってしまいます。
受け身になって声がかかるのを待つのではなく積極的に転職エージェントに事業再生に興味がある人フラグを立てて積極的にチャレンジしてみてください。
あわせて読んでほしい
事業再生やPEファンドに興味を持った方は、転職エージェントからPEファンドに関する具体的な情報を入手しましょう。その際のアプローチ方法についてもまとめていますので合わせて参考にしてみてください。
大学卒業後、ファンド・コンサルで10年以上働いて独立しました。今は、個人でコンサルやりながらニッチなメディアの運営を行っております。詳しいプロフィールはこちら。
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