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「オッス、オラ悟空。今日はPEファンドについて説明スっぞ!」
はい、冗談です。
めちゃくちゃわかりやすくPEファンドを解説してほしいというリクエストがありましたので、ドラゴンボールを駆使して頑張ってみました。
プライベート・エクイティ?
バイアウト・ファンド?
ベンチャーキャピタル?
全部同じ意味?何か違うんだっけ?みたい認識の皆様、ご安心ください。
プロフェッショナル人材にとっては一度は転職先として考えたことのあるPEファンド、
意識高い就活学生にとっては興味あるけど新卒採用ないし、コンサルや投資銀行の次のキャリアとしてなんとなく聞いたことがあるPEファンド、
PEファンドとは何かについて基本的なことからわかりやすく解説しようと思います。
これを読めば、PEファンドとは何でどんなことをやっている人達なのかが理解出来るようになります。
資本主義の権化みたいな手法で会社をまるごと買収し、なんとなくスゴそうなイメージが勝手に膨らみがちなビジネスですが、丁寧に紐解いていけば理解出来ます。
せっかくなのでファンドとは何か、PEファンドとは何かから体系的に理解しちゃいましょう。
今更聞けないファンド入門
「ファンドとは何か」から「PEファンドはこんな種類があって、こんなことをしているんですね」といった全体感を抑えちゃいましょう。
ファンドって何?
「PEファンド」の前に、「ファンド」ってそもそも何?という方、ご安心ください。そこから説明します。
ファンドとは、
「みんなから集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、儲かりそうなことにお金を使って、みんなで儲ける仕組み」です。
ドラゴンボールで例えるなら元気玉です。
↑悟空は元気玉ファンド運営者みたいなもの
図解するとこんな感じ。
このお金を儲かりそうなものに使います。それが株式や債権だったり、不動産だったり、アニメ製作だったり様々です。
PEファンドって何?
お待たせしました。PEファンドに入っていきましょう。
世の中にはいろんなファンドがありますが、PEファンドとは主に企業の未公開株式に投資するファンドです。
このPEファンドはザックリと2つから3つに分けることが出来ます。(解釈によってはいくらでも種類を増やせるけど、まぁこの程度にしておきましょう。)
- ベンチャーキャピタル
- バイアウト・ファンド
- 再生ファンド
図解するとこんな感じ。
このベンチャーキャピタルもバイアウトファンドも再生ファンドも基本的にはプライベート・エクイティ(PE)ファンドです。
しかし、ベンチャーキャピタルの人達は自分たちのことをPEとは言わずVCと言います。
バイアウトファンドや再生ファンドの人達は自分たちはPEだと言います。
同じサイヤ人でも「俺はサイヤ人だ!」とサイヤ人アピールをするベジータと一切サイヤ人アピールをしない悟空との違いみたいなものでしょう。(異論は認める)
↑PEファンドの人達はベジータ系が多い
ここでは、慣例に従ってベンチャーキャピタルをVC、バイアウトファンドや再生ファンドをPEと呼ぶことにしましょう。
再生とバイアウトってなにが違うの?
ここまで読んだ人の中には、「再生ファンドとバイアウトファンドって何が違うの?」という疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。
まあ同じようなものです、なんて言ったら怒られそうなのでわかりやすく説明すると流派の違いでしょうか。
バイアウトファンドであっても再生案件と呼ばれるようなディールはありますし、再生ファンドと言いつつも必ずしもそうじゃない案件もあるでしょう。
ドラゴンボールで例えるなら「亀仙流」と「鶴仙流」ぐらいの違いでしょうか。
使う技は若干違うけど、部外者から見たらやっていることは大して変わらない程度に覚えておきましょう。
ちなみに「ベンチャーキャピタル」と「バイアウトファンド・再生ファンド」は、天下一武道会とセルゲームぐらい違うことをやっています。
(この例えは無理があったか。。。)
企業ステージから見たPEファンド
3つのPEファンドですが、役割が当然違います。それぞれ見ていきましょう。
ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルは、創業まもないスタートアップやこれから大きな成長が見込めるベンチャー企業に対して投資するファンドです。
事業がうまく行き、企業価値が大きくなったら、それを対価として報酬を得ます。
図解するとこんな感じ。
ドラゴンボールで例えるなら、宇宙規模のヒーローになった悟空をローカル草大会(≒天下一武道会)で捕まえたチチはVC的な素質がありました。
再生ファンド
再生ファンドは、経営不振によって企業価値が大きく毀損した会社に対して投資するファンドです。
事業にテコ入れして、再生させて企業価値が大きく回復したら、それを対価として報酬を得ます。
図解するとこんな感じ。
ドラゴンボールで言えば、ヤムチャや天津飯をメインキャラとして蘇らせるようなものでしょうか。難しそうだ。
バイアウトファンド
バイアウトファンドは、事業が成熟した企業に対して投資するファンドです。
ベンチャーキャピタルや再生ファンドのような企業価値の大きな成長が見込めるわけでもないけど、キャッシュフローが安定した会社に対して投資します。
ここで、成熟した企業の成長率はベンチャー企業には劣る。そうなると企業価値の向上からは大きな報酬は得られないんじゃないかと思った方、鋭いですね。
そこで、PEファンドを理解する上では絶対にハズせないLBO(Levareged Buy Out)という仕組みを使います。
PEファンドがよく使うレバレッジを理解する
LBOの仕組みを理解する前に、企業価値を深堀りして考える必要があります。
企業の株式を全部買っちゃえばその企業を丸ごと買ったことになるのでしょうか?
そんなことはありません。株式を全部買い占めたとしても返済出来ない鬼のような借金が積み上がっていたら意味ないですよね?
そこで企業価値を考える際に借金も考慮しようという話になります。それがこちら。
企業の価値は株式の価値だけでなく、純有利子負債、つまり借金から現預金を引いた額も考慮しましょうねという計算式です。
逆に言えば、企業が大きく成長しなくても借入金が減っていけば株式価値は上がっていきます。
企業に投資する際に借入金も使って投資して、投資後に借入金を返済していけば、少ないお金で大きく儲けることが出来ます。
「5億円使って10億円儲ける」と「1億円使って10億円儲ける」では意味合いと効率が変わってきますよね。
これがレバレッジ効果と呼ばれるやつですね。
図解するとこんな感じ。
そこに企業の成長が加わってくると更に株式価値は上がります。
バイアウトファンドは投資する際に借入金を使うことによって、ベンチャーや再生ファンドのように大きく企業が成長しなくても、少ない金額で大きな案件に取り組みかつ効率よく儲けることが出来るわけです。
ドラゴンボールで言えば界王拳でしょうか。
ヒートアップした入札案件で「EBITDA7倍ファイナンス+メザニン界王拳」を使う前はこんな形相になります。
LBOに関しては、こちらの記事で更に詳しく解説しています。
興味のある方、もっと詳しく知りたい方はこちらも参考にしてみてください。(作成中)
ベンチャーキャピタルとバイアウトファンドの大きな違い
VCとバイアウトファンドの大きな違いの1つに、ファンド資金の使われ方があります。
VCのお金は投資先企業の新株発行に割り当てられることが多く、成長資金を提供します。
事業用の資金がガツンと入ってきて、VCが株主の一員としてその後関与することになります。
その一方で、バイアウトファンドの資金は買収資金であり既存株主に支払われます。
投資先企業には現金が入るわけではありません。親会社がファンドに変わっただけで、通常通りに事業が継続されます。
投資するお金の使われ方と投資後の株主としての関与の視点から見るとVCとバイアウトファンドではこの2点が大きく異なります。
- 成長資金か買収資金
- マイノリティー株主かマジョリティー株主
天下一武道会とセルゲームぐらいルールが違う感じがしますよね?
PEファンドのビジネスモデル
ファンドは「みんなから集めたお金を投資して、大きくして、みんなに分配する」というシンプルなビジネスモデルです。
GP:General Partner
ファンドの業務執行する責任者。ファンドの形態によって無限責任組合、業務執行組合、営業者、呼ばれるLP:Limited Partner
ファンドに出資する投資家。運営には関与しない。ファンドの形態によって有限責任組合、一般組合員、匿名組合員と呼ばれる
ここで抑えておきたいのは、ファンドを運営しているGPの報酬は2つあることです。
- 管理報酬:運用額の2%程度
- 成功報酬:キャピタルゲインの20%程度
管理報酬として年間2%程度の基本収入があります。100億円、満期10年のファンドであれば、2億円×10年分が管理報酬として使われ、ファンドとして投資できるのは80億円までです。
まれにファンド総額をフルに投資出来ると思っている方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。
最低でも20億円以上儲けてはじめてプラスになる訳です。大変ですよね。
また、得られたキャピタルゲインに対してGPは成功報酬20%程度をもらいます。逆に言えばキャピタルゲインがでないともらえません。
キャピタルゲイン依存の経営では危なっかしいので、ファンドの経営者は当然管理報酬で自社の固定費をまかない、成功報酬はアップサイドとするような経営スタイルに落ち着きます。
ちなみに、GPもファンドに一部出資しますのでファンドからの利益分配もあります。
PEファンドの業務内容
PEファンドの概要がつかめたところで、日常業務の大まかな流れも見ていきましょう。
主に5つのプロセスからなります。
PEファンドの満期は10年が多いため、1件投資して回収するまでに数年間掛かります。
息の長い仕事ですね。
詳しく説明すると無限に記事ができちゃうので、ザッと凝縮して説明します。
もっと詳しく知りたい方は、業界関係者を捕まえてヒアリングしてください。
Ph1 案件開拓
まずは儲かりそうな案件を探すところから始まります。
儲かりそうな案件の探し方は各ファンドごと、担当者ごと様々で、金融機関からの紹介、M&A仲介会社からの紹介、知人からの紹介、独自ルートでの開拓等なんでもありです。
↑リソース総動員のイメージ
とにかく「会社を売りたい個人や法人」を探す、もしくは「会社を持っている個人や法人に会社を売りたい気持ちにさせ」なくては始まりません。
会社の売却は大きな意思決定であるため、メルカリでサクッと断捨離気分で出来ることではありません。数年間の長期戦になることが多いでしょう。
案件開拓を掘り下げるとそれこそ1冊の本が出来てしまいますので、詳しくはまたの機会にしましょう。
Ph2 投資検討から投資実行まで
売ってもらえそうな会社が見つかったら、買って儲かるかを検討します。
いわゆるDD(Due Diligence、またの名をマツリ)ですね。
ビジネス、法務、会計、税務といったあらゆる面から会社を分析して、買った後にどこかに売却して儲けることが出来るかを死ぬ気で検討します。
PL/BS/CFのすべての面から考えますので、BSが読めずにCFが作れないコンサルタントやPLのアップサイドのリアリティーが想像出来ない投資銀行マンは自分の足りないスキルに気がつくことでしょう。
売手との交渉、銀行との交渉を進めつつ、自社内での議論を行い、なんだかんだで1ヶ月〜3ヶ月かけてクロージングまで持っていきます。(ちなみに1ヶ月でクロージングするようなディールは死臭が漂います)
クロージングまでに余裕があったとしても、他のディールと重なったりすると危険です。
PEファンド業務で肉体的に忙しいのは投資の検討でしょう。
このDDを乗り越えるたびに成長するアソシエイトの姿は、死の淵から蘇り、壁を突破するサイヤ人のようです。
Ph3 投資実行後
投資が実行出来たら、晴れてファンドの子会社化です。
買収前に経営陣と握った計画に沿って月次のモニタリングから始まります。
投資したての頃は、投資先企業の経営陣もファンド側も新鮮でお互い期待や不安があります。
投資先企業の経営陣はファンドのリソースをフル活用して会社を伸ばそうと企みますが、数カ月後にファンドには何も期待できないことがわかるでしょう。(※1)
ファンド側は投資前にストレッチさせた事業計画通りにいかないことを痛感させられます。
結婚と同じでお互いが盛り上がるハネムーン期間は意外と早く終わりがやってきます。
↑口だけのPEファンドに文句言う投資先経営陣
その一方で、ファンド側は仲介会社や投資銀行に「今回投資したこの企業に興味ある人がいたらお気軽にお声がけヨロシク」とプロモーション活動をします。
細かく説明するとキリがないので詳しくは別の機会に。
※1:追加買収やリストラをPEファンド主導で行って業績拡大に貢献することも当然あります。
Ph4 EXIT
投資後から「IPOを目指しましょう」とファンド側は耳障りの良い言葉を囁きますが、IPOまでたどり着ける企業は少数派です。
投資から1−2年経過すると
「XX社が事業提携に興味を持っているようで、打診がありましたが会ってみませんか?」
と言った感じで、PEファンドが買収可能性がある先を次々と投資先企業に面談させます。
しびれを切らすと「我々もファンドの満期があるので、、、」と言ってM&Aのアドバイザーを雇って、売却に舵を切ることでしょう。
↑心情的にはこんな感じ
売却先が見つかったら、条件交渉してクロージングを目指します。
Ph0 ファンド組成
このページを読んでいるような人はファンドレイズをやるのは当面先ですから気にしなくてもいいでしょう。
ん?
ファンドレイズってどんなことやるか知りたい??
20代、30代の未経験の若造がいきなりファンドレイズ出来るほど世の中はあまくありません。
世の中のファンドレイズした人達は、どこかしらでのファンド運用者としての実績を作っています。
最初は、その実績を作った頃から繋がりのある機関投資家に出してもらうパターンが多いでしょう。
なので1号ファンドは期待も込めての様子見の出資が多く、比較的サイズも小さめになります。
1号ファンドで順調に投資出来て、ポートフォリオも良さそうだという実績を見せてはじめて2号ファンドに繋がります。
「実績出来たのでもう少し大きく行くいってみるか!」となると、証券会社の力も借りて広めに機関投資家に声をかけることもあるでしょう。
ここはシニアなパートナーがメインで活躍する場面です。
PEファンドとなると一口10億円ぐらいからの規模になりますので、ぽっとでの新人に出資するにしては金額が大きすぎますね。
だから、このページを読んでいるような人にはまだ早いって言ったでしょ(笑)
PEファンドFAQ
PEファンドがなんとなくどんなものかわかって来ましたでしょうか。
PEファンドにまつわる皆さんが聞いてきそうな質問をFAQとしてまとめておきました。
FAQリスト:
- どうやって投資先を探してくるの?
- どんな企業を買うの?
- どんな人がLPになるの?
- 売却先ってどうやって見つけるの?
- どんな人が働いているの?
- ハゲタカってなに?
- 価値を高めるとか言っても実際はなにも出来ないんじゃないの?
- LBOってなに?企業を借金漬けにするって聞いたんだけど
- 事業承継といっても直ぐに転売するから嘘ですよね?
長くなっちゃうので、別ページにしておきます。
興味ある人はあわせてご覧ください。(作成中)
著名なPEファンド
詳しいロングリストは他のサイトに任せるので、超有名ファンドの名前だけでもあげておきましょう。
国内系PEファンドの雄
アドバンテッジパートナーズとユニゾン・キャピタルが代表格ではないでしょうか。
2社共に国内のバイアウトファンド黎明期の頃から活躍している老舗です。
現在では運用総額も1000億円を超える名門になりました。
外資系PEファンドの雄
あげればきりがないですが、カーライル・グループ、KKR、ベインキャピタル、ブラックストーン、ペルミラとあたりでしょうか。
いずれも運用総額が数兆円規模で、グローバルに投資活動を行っており、国内にも拠点を構えて活動しております。
PEファンドの高い給料は、数兆円規模のファンドの管理報酬(数百億円)があってこそですね。
まとめ:PEファンドとは会社をまるごと買って価値を高めてまるごと売る人達
ものすごく乱暴に説明(本職の皆さん、スミマセン)してきましたが、外からみると何をやっているのかよくわからないPEファンドのことをなんとなくでもイメージ出来たら嬉しいです。
すごそうなことをやっていそうに見えても、中に入ってしまえば意外とやっていることはシンプルです。(簡単とは言ってません。)
巨額のお金を運用しているように見えますが、製造業が材料を仕入れて商品に加工して販売するように、会社を仕入れて加工して他社に譲るというシンプルな構造です。(中には無加工転売の商社も??)
PEファンドに興味を持った方は、ぜひご自身でもリサーチして頂き、業界に関する知見を深めて頂ければと思います。
以上「プライベート・エクイティ(PE)ファンドとは何かをドラゴンボールで解説する」でした。
PEファンドへの転職に興味を持たれた方へ:
ここまで読んでくれた皆様、
既に関係者にもっと詳しい話を聞いてみたくなっていると思います。
ぜひ、現役のPEファンド(ウー)マンが身近に直接聞くのもいいですが、複数のPEファンドをカバーしているであろう転職エージェントから「○○ファンドはゴリゴリの体育会系」といった内部カルチャーのような定性的な情報も収集してみてください。
金融関連に強いコトラはPEファンドとのコネクションも紹介実績も豊富です。創業者が金融業界出身であり、私が現役だった設立当初から金融に強いを打ち出していました。
ファンドの事情や特色・カルチャーも踏まえた情報を抑えていますので、PEファンドに興味があるなら必ず話を聞いておきましょう。
ビズリーチをガチで越えようとしているリクルートダイレクトスカウトと年収1000万円以上の求人に特化しているランスタッドであれば、国内系、外資系共にPEファンドをカバー出来ると思われます。
また、現役のコンサルタントの方は、ポストコンサル転職に特化している実績豊富なアクシスコンサルティングに相談してみると、コンサルからPEファンドに巣立っていった先輩方の参考例も聞けると思います。
ただ、その一方でヘッドハンターに依存する部分も多く、PEファンド自体が求人が少ないので「すぐに転職する必要はないけど、PEファンドの求人があれば応募したい人」は事前に登録しておいたほうがいいでしょう。
また、こちらでPEファンド希望者の為の転職エージェントの賢い使い方についても説明しています。
大学卒業後、ファンド・コンサルで10年以上働いて独立しました。今は、個人でコンサルやりながらニッチなメディアの運営を行っております。詳しいプロフィールはこちら。
コメント
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