こんにちは。
突然ですが、「ゲームのルール」と言われて何を思い浮かべますか??
スポーツや将棋のような勝敗を競うゲームのルールが一般的ですが、ちょっと意識が高い社会人になってくるとゲームを「ビジネス」だったり「組織内で出世すること」に置き換えて、「ゲームのルール」と表現する方がいらっしゃいます。
今回は、コンサルの組織内で出世する為の「ゲームのルール」について考えてみたいと思います。
同じコンサルでも役職によってゲームのルールが変わる
このツイートがすべてを言ってくれています。
プロフェッショナルファームにおいてスタッフやAの仕事は作業ゲー。効率的に素早く正確に。
マネージャーやVPはRPG。自分も戦いつつパーティーを指揮。
ファーム規模によるがパートナーやMDになると一転シミュゲーの性格が強まる。どこを攻めるか。どういう駒をおくか。ロジは大丈夫か。— SOE (@SOE_2020) January 6, 2020
このツイートを何度も読み返して、自分なりに答えをさがしてください。
あとはよろしく。
冗談です。嘘です。解説します。
アソシエイトはスキル中心
AIが普及してもまだまだ仮説を立てて、データを見に行って、検証するといった作業は高度な人間様の領域です。どんなに機械化・効率化が進んでも簡単には代替されません。(数十年先だとわからないけど)
アソシエイト(ファームによってはアナリスト)と言えば、仮説にそって貴重な一次情報を入手するために這いつくばり、かき集めた情報を再構成してその道何十年のプロと客観データで戦うことが求められます。(これを奴隷と心無い呼び方をする方もいらっしゃいますが、、、)
ドラゴンボールで言えばフリーザ軍の名もない戦士↓
鬼滅の刃で言えば、名もない鬼滅隊隊員です。
その戦いのベースはロジカルシンキングであり、「データをサクッと分析して示唆を出して、誰でもわかるようなスライドに落とし込む」ことを一定のスピードとクオリティーでこなすスキルです。
もちろん、これだけ出来れば良いわけではなく「この人はプロフェッショナルとして仕事を任せても大丈夫な人」という一定の信頼・評判も作る必要があります。
この事をうまく表現すると↓こうなります。
昇進は個々のスキルの高低よりも、その人に総合的な信頼が置けるかが全てです。
多少のスキルの凸凹はサポートすればなんとかなりますが、意思疎通コストの高さや仕事へのコミットの低さなど、そもそも人として安心できないと、どうにもなりません。
信頼をコツコツ積み上げることが昇進への近道です。— こーぼー@外資系戦略コンサル (@LogicalKobo) January 15, 2020
ハードスキル、ソフトスキル、マインドセットの3点をある程度信頼おけるレベルに持っていくのがアソシエイトでしょう。
仕事が出来ること(≒事務処理能力がスゲェ高い)が評価されるのがこの時代ですね。
人事評価も比較的フェアで、同僚からも「あの人なら妥当だよね」と思われることが多いでしょう。
マネージャーはチーム運営を評価されるが最後は上司
鬼のようなに忙しい奴隷時代をくぐり抜けると、奴隷使いに格上げされます。
いわゆるマネージャーとして、パートナーが持ってきたプロジェクトのザックリとしたお題を噛み砕いて、チームを率いて捌いていくことになります。
ドラゴンボールで言えば、フリーザ軍のギニュー特戦隊のギニュー隊長(フリーザではない)
鬼滅の刃で言えば、柱(鬼滅隊当主の産屋敷耀哉ではない)でしょう。
自分自身も戦いつつチームを率いて、チームとして結果を出すことが評価の対象です。
チームメンバーよりも自分の方が事務処理的な仕事は出来るでしょうが、「俺がやった方が速いから俺がやっちゃえばいいや」では意味がありません。
チームメンバーを動かし、能力を引き上げて、良いチームを率いてこそのマネージャーです。
また、チームプレイと言っても自身の能力開発も怠ってはいけません。若いヤンチャなチームメンバーはハードスキルがないマネージャーを舐めてかかります。
いざとなったら、自分でも出来るんだぞという余裕は見せて置かなくてはいけません。
諺にもなっているぐらいです。
勇将の下に弱卒無し
【読み】 ゆうしょうのもとにじゃくそつなし
【意味】 勇将の下に弱卒なしとは、上に立つ者が優れていれば、その下につく者も優れているということ。
出所:故事ことわざ辞典
話が脱線してしまったので、元に戻しましょう。
マネージャーはチームプレイが評価の対象になると述べましたが、後半戦から終盤になってくると更にゲームのルールが変わります。
社内でディレクターやパートナー達にいかに気に入られて、引き上げてもらうかという社内政治の要素が加わってきます。
どんなに円滑にプロジェクトをこなし、部下を育成し、顧客のリピート案件をとってもマネージャーのテッペンまでは行けますが、そこを突き抜けるのは無理です。
残念なことにあなたはコンサルタントである前にサラリーマンです。
「会社に貢献すればパートナーになれる」みたいなコンサルが一番苦手なゆるふわワードに自ら陥っちゃいけません。
ここで言う「会社」とは「あなたを評価する人」であり、「貢献」とは「こいつを引き上げてやろう」と思わせることです。
つまり、今のパートナーに「こいつはカワイイ奴だ、引き上げてやるか」を思わせることです。
マネージャーのゲームのルールは「チームプレイで上り詰めて、最後はパートナーに気に入られる」ですので、覚えておいてください。
ディレクター/パートナーになって営業マンになる
奴隷使いを卒業したら、遂に人間です。
おめでとうございます。
ここまで辿り着いた頃には同期、同時期入社の人達はほとんどいなくなってることでしょう。
この領域まで来るとゲームのルールは更に激変します。
ドラゴンボールで言えばフリーザ
鬼滅の刃で言えば、産屋敷耀哉や鬼舞辻無惨です。
日常的に高度な事務作業をすることはありません。
求められるのは年間数億円という数値(ノルマ?)になります。
誤解を恐れずに言えば、営業、ゴリラの世界です。
KPI(※)は証券会社入社1年目の支店配属されたソルジャーと同じです。(10年目のソルジャーも同じだけど)
※Key Performance Indicator
もちろん、誇り高きコンサル戦士の最終形態であるパートナー様が証券会社スタイルで電話をかけまくって、飛び込み営業をすることはありませんが(やっちゃダメなわけじゃない)、求められるものは同じです。
上品に育ってしまったコンサル戦士がいきなりハードゴリラの世界に適応できるはずがないので、リピーターという名の太客を2−3社回しつつ、紹介という名の新規開拓をするというマイルドゴリラスタイルに落ち着くことでしょう。
また、単純に営業すれば良いわけではなく、社内のリソースを鑑みつつ、調理可能な案件をとる必要があります。筋の悪いハズレ案件を持ってくると奴隷達からの反感を買います。
ちなみに、「マイルドゴリラの世界」があわなくて転職される方も多くいらっしゃいますが、それは合う・合わないの話であり、その人が優秀かどうかとは別の話であることはいうまでもありません。
結果だけ出せば評価される世界はないのか、、、ある!
ここまではゲームのルールが役職ごとに変化することを話してきました。
ゲームのルールがコロコロと変わり、仕事が純粋に出来るだけ評価されるわけではないという事実をご理解頂けたと思いますが、逆に、ピュアに実力のみで評価される世界は存在しないのかというとそんなことはありません。
ユートピアは存在します。
そんな世界をいくつか紹介しましょう。社内政治がくだらないと思う方は、こっちの方がいいかもしれませんよ。
ゴリゴリ営業するゴリラの世界
営業の世界は基本的に結果こそが正義の世界です。
ドラゴンボールで言えば、孫悟空やベジータといった強さを個人で追い求める(≒チームプレイはあまりしない)サイヤ人です。
↑常にこれぐらいのマインドが求められます
特に不動産、保険、証券の世界はインセンティブも大きい為、ゴリゴリ営業のゴリラが闊歩する世界です。
また、中小企業のM&Aの世界も基本はこれです。
リピートの少ないM&A仲介業者のパートナーと呼ばれる偉い人達がやっていることは何かと言ったらゴリラ営業です。
M&Aのトランザクションをメインに仕事をしてきた小綺麗な人が「俺にも出来るかも」と勘違いしてゴリラの世界に足を踏み入れることがありますが、そんなに簡単なものではありません。
後輩(会計士)がもっと稼ぎたいとm&a仲介屋さんに転職して2年経ったんだけど、1件しか成約できず普通に給料下がったという話を聞いて、会計士になるような人類が、ゴリラの世界に乗り込んではイケないと改めて思った。
— かっち (@upside_k) October 25, 2019
余談ですが、ネット(主にツイッター)で営業をゴリラと言っている方々は、営業ゴリラに対して心の底ではリスペクトしています。
売上を立てて稼ぐことは尊いのです。
文字通りに捉えて「ゴリラ(笑)」みたいに思っている方がいたらそれはいけません。
日焼けした肌とゴツい身体でなんでも売りそうな人に出会ったら「日本経済を回している立派な人」と称賛してください。
ゴリラを下に見るような人は、それはゴリラに対する僻みですから!
起業する
これはシンプルですね。
自分が社長になっちゃえば、くだらない社内政治、出世ごっこからは開放されます。
このブログをここまで読むような人は、出世ゲームにリソースを使うよりも自分でサービスを開発してチャレンジしてほしいなぁと個人的には思っています。
まとめ:自分が戦う世界のゲームのルールぐらい抑えておこう
コンサルとしてビジネスをみる場合でも投資としてビジネスをみる場合でも、
「このビジネスは規模の経済が効くからM&Aが起こりやすい構造だな」とか
「このビジネスはネットワーク外部性が効くから最初はひたすら赤字を垂れ流す資金繰りが恐いタイプだな」
といったゲームのルール(事業経済性ってやつですね)を抑えにいくでしょう。
同じ様に自分が所属する組織で勝つためには、その組織のゲームのルールを抑えておく必要があります。
不思議なもので自分の事になるとゲームのルールを見落として「スキルを身につければ認めてもらえる」「売上で貢献すれば認めてもらえる」みたいに考えてしまうことがあります。
ゲームのルールをよく理解せずに戦うことは、どんなに優秀な人であっても不利ですし、賢くありません。
皆さんがどのような組織でどんなキャリアを積み上げたいかは人それぞれですが、自分が所属する組織のゲームのルールは最低限抑えておきましょう。
以上「若手のコンサル必見!?プロモーション・出世のために覚えておきたいゲームのルール」でした。
あわせて読みたい
ゲームのルールを理解したら、仕事が出来る先輩や上司のマインドセットも理解しておきましょう。
大学卒業後、ファンド・コンサルで10年以上働いて独立しました。今は、個人でコンサルやりながらニッチなメディアの運営を行っております。詳しいプロフィールはこちら。
コメント