優秀で高学歴な若い人のあるあるネタとして打たれ弱いという点があります。
若い人に限らず、何かの仕事を依頼して出てきたアウトプットが、1回で合格になることはほとんどないでしょう。
むしろ経験の浅い新人だったら資料は真っ赤に炎上して、フルボッコ。
打たれ弱い優秀で高学歴な若い人の中には意気消沈し、凹んでしまう人が少なくありません。
自分は優秀(と勝手に思っている)という自尊心があるのでしょう。
そんな若者は作り込まれた資料が出来上がる過程をイメージして、炎上を恐れずに励んでいただければと思います。
※注
この記事は、部下としてのマインドについて書いています。「上司が無能だったら」という前提は一旦おいておきましょう。
また、タイトルを読んだだけで「無駄!仕事にならない!」みたいなことを仰る浅はかな方々がいらっしゃいますが、結論から言うと「修正回数自体に意味があるのではなく、考えられたモノを作ると結果的に何度も修正した末にたどり着くことになる」と言っていますので、誤解なきよう。
1つのミーティング用資料のVersion情報を調べたら平均11だった
平均11回
この数字が何かわかりますか?
私が実際にプロマネを行ったあるプロジェクトの毎週定例ミーティング用資料が最終化するまでの改定数になります。
毎回チーム内でミーティング用資料を色々と議論して作成するのですが、その際にファイル名にVersion情報をつけて管理しています。そのVersionの数値を平均すると11でした。
実際の集計結果は、こんな感じです。
1st 16
2nd 14
3rd 12
4th 9
5th 2
6th 11
7th 7
8th 13
9th 14
10th 8
11th 15
12th 10
13th 11平均 11
新人の若手にも担当を決めて仕事を振りますが、当然1回で合格する様な資料は出来ません。
赤ペンを入れて修正するのですが、紙が真っ赤に炎上します(ちなみに若い人だけでなく、ベテラン・中堅も同様です)。
この光景をみた若い人の中には、物凄く落ち込んでしまう人がいます。
当然、こんなに修正されるとも思っていなかったので、自分を否定された気分になのでしょう。
そんな人には、「経験的に、1つの資料で16-18回ぐらいの修正が必要だから凹んでいる暇はないし、まったく気にすることはない」と伝えています。尚、平均は11回になっていますが、私が慣れているクライアントでもあったため若干数値が少なめに出ている気がします。感覚的には16-18回ぐらいですね。
ちなみに、著名な大学教授の講演を公聴した際に、その教授が研究室の生徒の論文の書き直し回数について似たような議論をしていました。
それによると修正回数はおおよそ10回ぐらいとのことで、本質的な中身の議論は7回目ぐらいで安定して、後は見栄えの話になってくるそうです。
逆に7回目ぐらいの壁を超えられないと、論文の提出が見送りになることが多いそうです。
中身の練られた資料を作る過程と比較すると納得感がありました。
最初の修正はツライが、1回あたりの修正による改善幅は大きいから11回ぐらい頑張れ
改善回数とそれに伴って、資料のクオリティーがどんなふうに変化していくか、イメージ図をかいてみました。
改善回数はある程度行くと品質改善幅がサチってきます。*saturation
逆に言えば、最初の方は直せば直すほどもの凄く良くなるのです!
11回ぐらいを目処に頑張りましょう。
3回ぐらいで挫折したら勿体無いです。11回オーバーで見える風景と3回で見える風景は別物です。
面白いブログや文章だって、絶対に10回以上修正しています。小説や書籍だって、それ以上の見直し、書き直しをして完成しているはずです。
数回で完成すると思うな!
追記:
誤解する方が多いようなので補足。
何度も修正することが大事なんて言ってませんよ。中身を洗練させるのには何度も議論してブラッシュアップして、結果的に何度も修正することになるってことですからね。
資料が炎上するのは当然のこと!いちいち凹むな!
優秀な高学歴な(と言われてきた)人は、意外とダメ出しされると脆かったりします。
そう言う人が凹んで使い物にならなくなっても面倒くさいので、データに基づいて話すと「そんな深刻なことじゃないんだ」と思ってくれます。
さすが優秀なので定量的なデータがあるとスムーズです。
新卒の優秀な部下がいる方は、部下がクソの役にも立たないような資料を作ってきたら、資料を炎上させてダメ出しを終えた後に、こんな風に声をかけてみてください。それだけでもやる気を取り戻してくれます。
逆に、若い人は、経験豊富なシニアな人達が頑張って議論して作りこんでいっても10回以上の修正が必要になるので、「炎上は良い物を作るための儀式みたいなもの」と思って凹まずに頑張りましょう。
炎上は悪いことでは無いんです!!むしろ必要なこと!
見た目の綺麗な資料よりも中身が大事という人の誤り
資料を何回も修正するのがアホくさい、上司の指示が悪いことに起因する無駄な作業と短絡的に考える方はいらっしゃると思います。そういう方は必ず見た目が綺麗な資料よりも中身が大事とドヤ顔で言います。
中身が大事じゃないなんて誰も言ってません。
むしろ逆で、中身を作り込むのに何回も修正して良いモノを作っています。中身の議論が大事だからこそ、中身がストレートに伝わる資料を知恵をしぼって議論して作成しているのです。また、時間効率から上司の考えたことだけを形にするのであれば、あなたじゃなくてもっと単価の安い手足としての労働力で足りてしまいます。そうならないのはあなたの思考を鍛えるためです。まっとうな議論をしたかったら分かりやすく作り込まれた資料を準備するのは必要最低限と思いましょう。
最初ファームに入ったときはフォントや図形の整列などを指摘されると「外見より中身だろ!」と不満に思ったものだが、今振り返ると大げさに言えば資料は見た目が9割。
コンサル資料の美しさはクライアントを動かす、これは本当なのでビジュアライズ頑張ろう。— シャイニング丸の内 (@shimaru365) 2019年2月20日
後輩「資料が多少誤字ってたりテキストボックスがズレててもぶっちゃけ問題ないですよね。本質的な話ができれば良いわけだし」
わい「例えばラーメンがおぼんにのって運ばれてくるとする。その時若干こぼれたのか割箸にスープが付いてる。嫌だろ?テキストボックスはなおせ」
という話を明日しようか
— いっぴきさん (@ippikisan) August 4, 2020
コンサルとしてキャリアをスタートさせて、資料を作ったりしているとフォントだったり、図形の整列だったりと細かい修正をされることにイライラすることもあるでしょう。変な違和感を与えずに本質の議論に集中する上ではとっても大事なことなので、バカにせずに取り組んでみてください。逆に大した修正も行われないような資料は、議論にもならないような当たり前のことしか伝えていないと考えましょう。
※
ちなみに見た目の修正が入ってくるのは資料作成の終盤です。当然、優先順位は与えられた時間や目的によって変わります。
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なんだか最近、アベイラブルな期間が長くてあまりアサインされないなぁと思ったらどこに問題があるか特定しましょう。
大学卒業後、ファンド・コンサルで10年以上働いて独立しました。今は、個人でコンサルやりながらニッチなメディアの運営を行っております。詳しいプロフィールはこちら。
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