こんにちは、taikiです。
突然ですが、コンサル垢として有名なTokyoSwingさんご存知ですか?
Tokyo Swingさんのブログ「Tokyo Harbor」で真面目にビジネスを論じている記事がタイムラインによく流れてくるのですが、残念なことに私は最後まで読めたことがほとんどありません。
重厚長大かつマッチョな本気で読むタイプの文章であり、なかなか携帯でサラッと読む気になれず、途中で挫折してしまいます。もちろん、書いてあることは論理的で示唆に富む内容(のはず)で、ちゃんと読んだら勉強になるという雰囲気は感じでおりました。
そんなTokyoSwingさんがKindleで『プロフェッショナリズムと問題解決の実践』をリリースしたので、有料かつ書籍であれば俺も真面目に読むだろうと購入して読んだ所、コンサル入社前、現役、元コンサルによらず得るものが多く、勉強になる内容でした。
そんな本だからこそ、私が噛み砕いてわかりやすく解説する余地があるなぁと思ったので紹介しようと思います。
そして、プロフェッショナリズムと言えば、ジョジョ!!
ジョジョの奇妙な冒険を使って解説したいと思います。
要約『プロフェッショナリズムと問題解決の実践』
本の構成
まずはザックリと内容を掴むことからはじめましょう。
目次から構成を掴みます。
この本は、2−7章までの「問題解決」パートと8-10章までの「プロフェッショナリズム」パートの2つで別れていることが目次からなんとなく読み取れるでしょう。
問題解決に関しては、私があえて言い換える必要性も感じないので思い切ってカット。一方で、後半のプロフェッショナリズムは仕事をする人なら知っておいてほしいし、どんな職種であろうと人生を豊かにするためには必要な考えでもあるので、後半のプロフェッショナリズムについてフォーカスしました。
プロフェッショナリズムとは何か
そもそもプロフェッショナリズムとはなんでしょうか。定義から確認しておきましょう。
プロフェッショナリズムとは高い付加価値の成果を出し続けるための基本動作
出所:第1章 はじめに プロフェッショナリズムと問題解決
プロフェッショナリズムとは要はデキる人の基本動作です。基本動作にも解釈の仕方がいくつかありますが、「当たり前にやること」ぐらいに定義しておきましょう。
その上で、8-10章のプロフェッショナリズム論を中心に読み進めてみます。
このパートを強引に要約するとポイントは3つです。
- 「俺はこう考える」とポジションを明確にする
- 途中で逃げ出さずに最後までやりきる
- 視点を変えて考える
常に自分の意見を持って、何事も逃げ出さず、いろんな視点で頭を柔らかくして考えることを基本動作としていたらプロフェッショナルとしてやっていけると言えるのでしょう。
そして、この3つを根底で支える価値観に第1章で触れています。
行動にこそ価値があるという考えは筆者のプロフェッショナルとしての根底にある価値観の一つでもあり、これはビジネスにおけるあらゆる営みに共通する考え方だと思っている。
出所:第1章 はじめに 行動にこそ意味がある
「行動こそに価値がある」というと部分だけ切り取って、素直な若者を騙す某出版系の「考えるな!動け!」的なメッセージのように誤解しないでくださいね。
まとめると3つのポイントと行動こそがプロフェッショナリズムとのことです。
ん??フワッとしてよくわからないッッ!?
仰るとおりですね。こういう時は具体事例で理解を深めるに限ります。
プロフェッショナリズムをカチッとした具体的なイメージに落とし込むためにも、みんなが大好きな『ジョジョの奇妙な冒険』の力を借りましょう。
ジョジョで読み解くプロフェッショナリズム
ジョジョを知らない人のために
まずは、『ジョジョの奇妙な冒険』って名前は知っているけど、実は読んだことがないという方も多いと思います。
簡単に説明すると1986年連載開始で現在も続いている人気漫画で、1部から8部(連載中)とストーリー別れていて、それぞれ主人公や登場人物が異なります。
各部ごとにつながりはありますが、基本は独立していると考えてもいいでしょう。
そのうちの今回取り上げたいのは5部です。
5部の主人公はジョルノ・ジョバーナ。
ジョルノ・ジョバァーナはイタリアのネアポリスに住む15歳の少年です。ジョルノは幼い頃にギャングに救われた経験から、汚職などで手を汚す警官などよりもギャングに憧れるようになり、『ギャングスター』になるという夢を抱くようになりました。
そんなジョルノがギャング組織「パッショーネ」に入団し、組織の内部抗争を勝ち進み、正体不明のボスに近づいていく物語です。
ギャング達のしびれる行動にプロフェッショナリズムを重ね合わせて読み解いていきましょう。
ネタバレがあるから注意
「俺はこう考える」とポジションを明確にする
ジョルノはボスからの指令を受けて、仲間のフーゴ、アバッキオと共にポンペイという遺跡がある街に鍵を取りに行きます。
その際に敵の襲撃にあいます。フーゴは敵の能力によって鏡の世界に連れ去られてしまいました。
おっかない先輩であるアバッキオは、指令を優先させて鍵を取りに行くことを選択しますが、ジョルノはフーゴを助けることを優先すべきだと意見が対立します。
ジョルノはおっかない先輩であるアバッキオに対して、自分はこう思うとキッチリと自分の意見を主張しました。
アバッキオもジョルノも各々の理屈と正義はあるのでしょう。
ジョルノは、思考停止で恐い先輩に従うのではなく、キッチリと自分のポジションを明確にして「俺はこうすべきだと考えている」と意見を述べました。
☆☆
現実社会で「事実はこうなっていて選択肢は大きく3つです。決めるのはあなたです」と言った感じで、仕事をしちゃっている人いませんか?
また、「俺はこれだと思う」という意見を持っていたとしてもそれを表明せずに不満を持ちながら他の人の意思決定に乗っかっちゃったりしていませんか?
確かに、最終的に意思決定して実行するのはあなたじゃないかもしれないけど、判断が違ってたら嫌だなぁと逃げ腰になってはいけません。
「選択肢は3つあって、俺はこれだと思う。なぜなら、、、」と明確にポジションをとることがプロフェッショナリズムだと著書では主張しています。
ポジションをとって、自分の意見として伝えることはプロフェッショナルとしての基本動作です。
ツイッターでチョイチョイネタにされるリクルートの「で、お前はどうしたい?」もプロフェッショナリズムの観点からは間違ってはいません(笑)
ミーティングにおいて終始無言で自分の意見も言わず、参加することに意味があるといったお役所のセレモニー的な会議はプロフェッショナリズムとは対極にあることは言うまでもないでしょう。
自分の意志がない作業屋さんは、アウトプットがどんなに高品質であってもプロフェッショナルとは呼べないのです。
ジョルノがチーム内での議論において自分のポジションを明確にするシーンはここでは紹介しきれないぐらいたくさんありますので、注意深く見てください。
途中で逃げ出さずに最後までやりきる
アバッキオの手を切るシーン
後輩ジョルノとの衝突がありつつも、アバッキオは目的である鍵を入手しました。
その際に、敵の襲撃にあってしまいます。
そこで入手した鍵だけでも絶対に持って帰ろうとして、敵の術から逃れるために自ら自分の腕を切断し、ジョルノに鍵を渡そうとしました。
アバッキオは「もっとも大切なことは命令を完了することだ」と自分のミッションから逃げ出さずに最後までやりきりました。
サルディニア島でのデスマスク
ずっと探っていたボスの正体を遂にアバッキオが掴みましたが、ボスに見つかってアバッキオがやられてしまいます。
しかし、アバッキオは死ぬ間際にボスの顔をダイイングメッセージとして残します。
死ぬ間際まで自分の役割を全うしようとしました。凄まじいプロ意識です。
☆☆☆
自分が与えられた役割を放り出して音信不通になり、周りに迷惑を掛ける人をみたことありませんか?
経験が浅いうちは求められているレベル感がわからず、自分のアウトプットと求められるレベル感のギャップが生じます。
そのギャップに対して、「全然甘い、やりなおし!」となってもとにかく食らいついて最後の最後までに逃げずにボコボコにされながらやりきる。
それを積上げていくと、求められているレベルがわかるようになります。
最後まで諦めずに食らいつく、考え抜くことこそがプロフェッショナルとしての基本動作であり、コンプリートワークやラストマンシップに繋がっているのです。
コンプリートワーク
成果物として完成されていて、それに手直しが生じることなくそのまま外部で用いることのできる品質であるという意味ラストマンシップ
「自分が常に目的達成の最後の砦であり、自分が踏みとどまらないと目的は達成できなくなる」と考えてあらゆる手段を使ってでも目的を達成しようとするリーダーシップ
出所:『プロフェッショナリズムと問題解決の実践』第9章 必ず結果を出すために
それを突き詰めた境地がアバッキオのように自分の腕を切断してでも、命を落としてでも結果を出そうとするプロフェッショナリズムでしょう。
我々が生きる現実世界では命まで落とすことはありませんが、それぐらいの心意気がプロフェッショナリズムには求められるのです。
昔この人に「2億円で片腕を切り落とせるか」という質問をされて「嫌ですねぇ〜」って答えたら「君の片腕は今2億円分の働きをしてるのかい?笑」みたいな詰め方されて、小学校の道徳の時間に大事なモノ忘れてきてるぞ!って思った🏫https://t.co/PTGAgssnZW
— 辛辣な宇垣ちゃん (@shinratsu_ugaki) August 18, 2020
面接官が「2億円で片腕切り落とせるか」と聞いてきたら、「金銭で割り切れるものではありませんが、コンプリートワークを追求した結果、腕を失ってしまうことはあるかもしれません」と答えてやりましょう(冗談デス)
視点を変えて考える
ベネツィアまで電車で移動する予定だったジョルノ達ですが、電車の中で敵の襲撃にあい、途中で電車を降りることを余儀なくされます。
その一方で、ベネツィアまでは急いで行かなくてはならない。
そんな中で、「車を盗んで行く」もしくは「ヒッチハイクで行く」でチーム内で議論が別れました。
車を盗むと警察に見つかるので危険、ヒッチハイクはいつ目的地に着くかもわからないし、その間に敵に見つかって追撃を受けるリスクもある。
ここでジョルノが視点を変えて新しい発想でアイデアを出します。
1台盗むから見つかるのであって、100台盗んで捜査を分散させちゃえば見つからないと機転をきかせました。
「逃げる者の視点」に陥っていた議論を「追う者の視点」から提案することによって状況を覆したのです。
☆☆☆
「自分が上司だったらどうするか考えろ」
「自分が社長だったらどうするか考えろ」
といった“1つ上の視点で考えろ”的な話は聞いたことがある人も多いでしょう。
これに対して「社長になったことないからわかるわけない」と思考停止になっちゃう方もいらっしゃいますが、このブログを読んでいるプロフェッショナルを志す方々はそんなことは絶対に言ってはいけません。
実際に社長の立場を想像するのも大事なのですが、それ以上に本質的なことは“視点を変えて物事を考えてみる”ことです。
自分の視点だけではなく違う視点・違う角度からはどう見えるのか、その結果、真実はどのあたりにあるのかを探っていくことはプロフェッショナルとしての基本動作です。
今回のジョルノのように「○○の視点からみたらどうか?」と常に自分に問いかけ続けましょう。
行動にこそ価値がある
ジョルノたちが電車で移動中に敵チームのプロシュートとペッシのチームに襲撃されます。
弟分のペッシは、それまでに何人も仲間がジョルノ達にやられていることを思い出して「あいつらブッ殺してやるッ!」と言いました。
それに対して兄貴分のプロシュートはそんな言葉を使うなと言います。
その後、「そういう言葉は、心に浮かんだ時点で行動が終わってないといけない」と言って拳銃をブッ放しました。
弟分のペッシに対して、自分の想いを行動によって自ら示したのです。
☆☆☆
プロフェッショナリズムの根底にあるものは行動や結果です。
どんなに偉そうなことを言っても行動が伴わないとプロフェッショナルとは言えません。
コンサルワークであれば、クライアントを実際に動かして(≒行動して)結果を出してはじめて虚業から実業に変わります。
思考を整理して方針が出たら、失敗を恐れずに行動に移して、次のフェーズに進むことこそがプロフェッショナルとしての基本動作中の基本動作なのです。
俺のプロフェッショナリズム
『ジョジョの奇妙な冒険』の力を借りて『プロフェッショナリズムと問題解決の実践』を読み解いてきましたが、ここからは私の解釈も交えてプロフェッショナリズムについて考えていきましょう。
私は、プロフェッショナリズムはエージェント型とプリンシパル型の2種類があると考えています。
この両者のプロとしての基本動作には共通する部分は多く、お互いがリスペクトをしていますが、根本的な部分では別モノです。それぞれ見ていきましょう。
2つのプロフェッショナル
エージェント型
エージェント型プロフェッショナルとは、コンサルタント、投資銀行、弁護士、会計士といった専門スキルを提供して、与えられたミッションを達成するタイプの人達です。
フィー収入が主体であり、クライアントやボスといった雇い主がいて成り立ちます。
ジョジョで言えば、アバッキオでしょう。
とにかくクライアントの意思を尊重するタイプのプロフェッショナルであり、ミッションのためなら命も掛けちゃうようなタイプです。
プリンシパル型
エージェント型とは逆に、個人として高度な専門性を持ちつつも、誰かに雇われるのではなく自分でストーリーを描いて実行するタイプのプロフェッショナルがプリンシパル型です。具体的には、PEファンドや起業家です。
ジョジョで言えば、主人公のジョルノ、ジョルノの上司であり組織の幹部でもあるブラチャラティです。各人が高度な専門スキルを持っていて、その専門性を活かしつつも自分が創造した未来に向かって覚悟を持って進んでいきます。
ジョルノのこのセリフからも自分でストーリーを持って自ら切り開いていくプリンシパル型であることが伺えます。
エージェント型はプリンシパル型に憧れる時期がある
ジョルノの直属の上司であるブチャラティは、あることがキッカケでボスを裏切ることにしました。
その判断基準は「自分が正しいと思った」からです。
組織に属するエージェント型プロフェッショナルからプリンシパル型に転向しました。
独立して、一国一城の主になったのです。
☆☆☆
エージェント型であるコンサル、投資銀行、弁護士、会計士の皆さんは、専門性が身につき、仕事も回せるようになってくるとクライアントにどんくささを感じて、自分が思い描くようにやってみたいなぁと感じることがあります。
プリンシパル型プロフェッショナルへの目覚めです。
人によっては、実際に転職してプリンシパル型に馴染む人もいれば、出戻りでエージェント型に行き着く人もいます。
2つのタイプのプロフェッショナルはどちらが上とか下とかはありません。人それぞれにあう・あわないがあります。
ただ、エージェント型がクライアントの顔色を伺いながらリピート案件を獲得するためにいろんな想いを犠牲にしながら働いているとプリンシパル型が羨ましく見えてくる機会は訪れます。
「ハンズオンしてみたい」「計画策定後をやってみたい」「M&Aのエグゼキューション以降もやってみたい」といったキラキラワードを言い出したらプリンシパル型への目覚めのタイミングです。
個人的には、プロフェッショナリズムを体得した皆様には、プリンシパル型に転向して頂き、自分独自のストーリー描いて未来を切り開いてほしいと考えています。
まとめ:プロフェッショナリズムは継続してこそ意味がある
プロフェッショナリズムとはこの3つを継続して基本動作として定着させることによって始まります。
- 「俺はこう考える」とポジションを明確にする
- 途中で逃げ出さずに最後までやりきる
- 視点を変えて考える
その一方で、著者も本の中で下記のように語っています。
今でもプロジェクトで失敗をすることもあるし、自分でも怠けてしまっていると自覚できるときもある。
(中略)
高度な付加価値を高い再現性を持って提供するプロフェッショナルを目指すのであれば、常により高い付加価値を出せることを目指すべきであり、そのためには学び続ける姿勢が必要である。
出所:『プロフェッショナリズムと問題解決の実践』 第11章 おわりに
某外資系コンサルティングファームのパートナーですら現在も道半ばなのですから、終わりのない厳しい道なのでしょう。
ここまで読んで頂いた方もプロフェッショナルの道に足を踏み入れてしまった方でしょうから、覚悟を持って、自分の「歩く道」を自分で決めて生きていきましょう。
以上「『プロフェッショナリズムと問題解決の実践』を『ジョジョの奇妙な冒険』で解説する」でした。
オマケ
プロフェッショナリズムをジョジョ5部以上に表現できている作品はありません。
サービスという視点からのプロフェッショナリズムが書かれていますが、実際のサービスを体験することとセットにすることでよりプロフェッショナリズムを体感することが出来るでしょう。
問題解決は主に若い人、プロフェッショナリズムは若い人はもちろん、シニアの人も読む価値があります。
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プロフェッショナルとして戦力外通告されることもあるでしょう。最近アサインされないなぁと思ったら、まずは全体の構造を抑えた上でどこに問題がありそうなのかを見極めてください。
大学卒業後、ファンド・コンサルで10年以上働いて独立しました。今は、個人でコンサルやりながらニッチなメディアの運営を行っております。詳しいプロフィールはこちら。
コメント
[…] この記事の元ネタです。プロフェッショナリズムとは何かをジョジョの奇妙な冒険を使って解説していますのであわせて参考にしてみてください。 […]