こんにちは、taikiです。
前回に引き続き、PEファンド出身の山田聡さんインタビュー後編をお届け致します。
前回は、ドラゴンボール×PEファンドという切口でドラゴンボールを読んだことがない人を置き去りにする内容でしたが、今回はドラゴンボールに加えてキングダムとキャプテン翼を足してPEファンドとMBA留学について話してもらうという前人未踏領域に入りました。
異次元だけど実は本質をついているインタビュー記事に仕上がっております。
それではお楽しみください!
PEファンドの実態に迫る
後編もよろしくお願いします。
PEファンドって世の中の役に立ってるの?
PEファンドあるあるの質問ですが、山田さんとしてはどうお考えですか?
1つ目が事業承継のサポート
2つ目が大手企業のカーブアウト
1つ目の事業承継は、特に地方の後継者に悩む企業にもっとPEファンドを活用して欲しいですね。そういった企業にはPEファンドならではのリソースの提供は出来ると思います。
事業承継
企業の経営を信頼出来る後継者に引き継ぐこと。
↓過去に殺されたことも気にしないこのマインド!
カーブアウト:
企業が事業部門の一部や子会社を切り離し、ベンチャー企業として独立させ、収益の改善や事業の成長を図る経営戦略のひとつ
出所:Bizhint
絶対に理解出来るドラゴンボールで解説するシリーズのお時間です!
精神と時の部屋:
ドラゴンボールに登場する神様の神殿内部にある特殊施設。精神と時の部屋の特徴:
- 時間の流れが異なる(部屋の外の1日≒部屋の中の1年)
- 厳しい環境(空気薄い・重力キツイ・娯楽無し)に身を置いて修行出来る
10年、20年とPEファンド傘下にいたらとても耐えられないでしょうが、PEファンドは期間が有限なので「精神と時の部屋」での修行に近いと思います。
「精神と時の部屋」で企業のOSをアップデートが出来て自律的にアップデートを繰り返すようになれば、後で振り返った時に「精神と時の部屋にいた3年間はキツかったけど、今思えば相当鍛えられた」となります。
↓なんにもない真っ白な空間
企業経営に関する研究テーマで「外部資本を入れる有効性」の議論をする際に、外部資本を入れたほうが成長速度が速くなるといった話はよく聞きますが、「精神と時の部屋」と言われると物凄くストレートに伝わってきます。
ドラゴンボール世代だったらこれ以上の説明はないでしょう(笑)
流石に部屋に入っちゃった後に、「実は地元でゆるく、昔話をしながらマッタリ暮らしたいんだよね」なんて言われてもそれは対応出来ません(笑)
「ファンド傘下の期間は大変でしたが、とても鍛えられて会社として成長出来ました」
なんて卒業後に言ってもらえたら嬉しいですよね。
PEファンドの弱いところ
PEファンドの弱点やよくないところは何かありますか?
山田さん個人がPEファンドに在籍していた頃に感じたことで構いませんのでお願いします。
各PEファンドが歴史を積み上げてきてはいますがPEファンド自体がまだまだマイナーであり、「総合商社の看板で話をすればもう少し早く進むのかなぁ」なんて思うこともありました。
もう1つはPEファンドの専門性があまり高くないことです。
そうなるとPEファンドが考えつくのはジェネラルな戦略になりがちです。
このあたりはPEファンド自体がOSをアップデートしなくてはいけない部分なんじゃないかなと考えていました。
↓いつまでも気功砲に頼るんじゃないよってことでしょうか
PEファンドで働く人、向いている人
また、私が所属していたPEファンドは投資後も同じ担当者が継続するべきだという考えが強かったので、若いうちに入社すると投資検討から投資後のハンズオン、EXITの検討といったいろいろな経験が出来ると思います。
その際に数値を見て「現場でこんなことがおきているんじゃない?」と仮説が立てられてこそ、KPIでの議論も深みが出てきます。
他にはPEファンドならではの能力や特性はありますか?
例えば投資候補先の企業に、「御社はこんなストーリーでこんな企業を目指しましょう。我々はこんなリソースを提供します。」といったことを語って、受け入れて貰う必要があります。
また、投資先がIPOをするというストーリーであれば、フリーザのIRのように「俺は強い、なぜならこういう理由があるし、今後こうなるからだ」と自分のことを魅力的に語ることも必要になります。
いろんな状況でストーリーテーラーにならなくてはいけないので、ビジョンとか壮大な話を語るのが好きな人は向いているかなぁと思います。
↓自己申告の戦闘力でバブルを生み出したミスターIR
私自身の経験なのですが、仕事をしていてワクワクさせちゃう能力を目の前で見せつけられたことがあります。
↓人はワクワクさせられるとコロッといきます
その5分後に上司が同じことを雰囲気たっぷりで発言しました。
たぶん、私の発言は聞いていなかったのでしょうね(笑)。
そうしたら社長や他の役員が「それは、ぜひ採用しましょう!」となりました。
同じことを発言しているのにですよw
ワクワクさせちゃう能力は人や組織を動かしたりする上では大事だなぁと思いました。この部分に関しては今でも意識しています。
PEファンドの採用面接でもチェックされそうです。
PEファンドの採用面接で聞き飽きた話
投資銀行の方が「バイサイドで、M&Aのエグゼキューション以外も含めて企業価値向上に携わりたい」
といったどこかに書いてあるような教科書的なことを仰る方が結構いらっしゃいます。
PEファンド入社後のことを考えるとストーリーを語るという部分でもう少しオリジナリティーが欲しいところではあります。
これだったらどうですか?
ドラゴンボールじゃないにしてもそんな風に捻って来るともう少し話を聞いてみたくなります。(※)
※ PEファンドの採用面接担当者が全員山田さんのような人とは限りませんのでご注意ください。
PEファンド後のキャリア
その上で、実際に企業を成長させるツールを自分自身でも持ちたい、新しいテクノロジーの力を企業経営に活かしたいと考えました。
その結果、悟空やベジータ的な最前線で仕事が出来て、実際に自分もテクノロジーというツールを企業価値に使えるようになる可能性を感じてご縁を頂いた10Xに転職しました。
未来から来たトランクス状態です(笑)。
「この先でこんなこと起こりますから事前にこんな対策を先にしておきましょう」みたいな。
↓未来少年は有利
ベンチャー企業の採用面接で、「私は未来から来たトランクス的な働きが出来ます!」みたいなアピールをする人が出てこないか心配ですw
これまでの人生で役に立った漫画の話
普通に「好きな漫画はなんですか?」と聞いても面白くないので、PEファンドの仕事をする上で役に立った漫画について教えて下さい。
PEファンドとキングダム
↓社長の見ている景色を見ることによって目線があがる!
↑内容とタイミングしだいで士気があがったり、何もおきなかったり
取締役会での株主の発言によって士気をあげることもあったりします。
あまり一般では語られていませんが、PEファンド含めた社外の人間が出来る付加価値の1つですね。
追記:
その後、私も『キングダム』読みました。
山田さんがあげられたシーン以外にも演説をして士気を高めるシーンはかなりあり、どれも胸を打ちます。リーダーシップの観点からどこかで取り上げたいですね。気長にお待ち下さい。
MBA留学とキャプテン翼
ワールドユース編でもライジングサンでもなく、最初のキャプテン翼ですね。
↓コレ
主人公の大空翼とその仲間達が小学校を卒業して中学に進学する際に、チームメイトである岬太郎と若林源三がフランスとドイツに留学する話がすごく印象的です。
↓岬太郎、親の事情でフランスへ
翼は日本に残って進学してサッカーを続ける一方で、岬と若林はそれぞれフランスとドイツでサッカーを続ける。。。
MBA留学をする上では言語ギャップがあるとどうしてもディスカッションでの戦闘力は落ちてしまいます。
しかし、私にはビジネス経験もそれなりにあって、言語以外の部分で存在感を出してなんとか乗り越えることが出来ました。
2人とも言語で苦労しながら「俺にはサッカーがある!!」と頑張ったのでしょう。
しかも2人とも結果まで出した(笑)
↓これぐらいの自信があれば言葉の壁なんて無いようなもの?
岬と若林は、突然行くことになった感じで、まったく準備している気配はなかったですよね。
自分も留学して初めて彼らがどれぐらい苦労したかが実感としてわかりました。
先程taikiさんが仰った通り、本当に大事なのは自分が何が出来るかであって、語学力はそれをサポートする表面的なツールにすぎないということを巡り巡って理解出来ましたね。
漫画を本気で読めば、論理力も創造力も多元的な視点もなんだって養えるということを山田さんの言葉を聞いていて確信しました。
当社は小売業界向けのDXを行っていて、テクノロジーを通じて世の中を大きく変えることを目指しています。パートナーである大手小売事業者の経営陣の信頼を勝ち取りながら産業変革をリードしていくやりがいのある仕事です。
神様や界王様よりも悟空やベジータのようなポジションで現場で戦ってみたいと思う方は、ぜひ10X社への転職もご検討ください。
エントリーをお待ちしております。
まとめ:ワクワクさせる力は重要だ
いかがでしたでしょうか。
PEファンドという固そうな仕事をちょっと違った角度からフランクにアプローチしてみましたが、少しでも親近感を持って頂けたなら幸いです。
今回のインタビューからの学びを簡単にまとめるとこの3つでしょう。
- 天津飯ではなくクリリン(OSのアップデート)
- 悟空・ベジータの前線で戦う立場と神様・界王様の一歩引いた立場がある
- フリーザのようにIRして悟空のようにワクワクさせること
その中でも私が特に印象に残ったのは「語るのが上手な人」というのがホントそのとおりだなぁと思ったことです。話を聞いていてワクワクさせてくれる人にはどことなく惹かれちゃいますし、独創的な商品で多くの人々をワクワクさせることによって大企業に成長したのがSONYやホンダだったのでしょう。
PEファンドに限らず「人をワクワクさせる力」がある所にこそ、人やお金や仕事が集まります。
常に自分をアップデートし続けて、自分や周りの人をワクワクさせて、豊かな人生をお送りましょうというのが今回のインタビューの最大のメッセージだったのではないでしょうか。
以上、「PEが教えてくれた企業変革のポイント」の山田聡さんに聞いてみた 【本人解説:後編】でした。
あわせて読んでほしい
PEファンドに興味を持った方、転職エージェントに話を聞いてみるのもいいでしょう。
PEファンドは採用人数が少なくて狭き門と思われがちですが、私がPEファンドにいた頃よりもかなり増えました。余計な先入観にとらわれずぜひ門を叩いてみてください。
大学卒業後、ファンド・コンサルで10年以上働いて独立しました。今は、個人でコンサルやりながらニッチなメディアの運営を行っております。詳しいプロフィールはこちら。
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