おかげさまで、このサイトを読んで私に会ってお話を聞きたいと言ってくださる方がいらっしゃいます。
いろんな方にお会いしてお話を聞いたり、何かしらの力にはなりたいとは思うものの、時間的な問題もあり全員にお会い出来るわけではありません。
特に私のように採用したいわけでもなく、業界及び社会人の先輩として会うとなると利害関係も薄くなり、必ずしもお会いするインセンティブがあるとは限りません。
しかし、私自身が多くの素敵な先輩方にアドバイスを貰いながら、怒られ、励まされてここまで来たこともあり、若い人にもそういった経験は返していかないとなぁとも考えています。
今回は、内定者から新人のような若い方が先輩方に会いに行く際に、知っておいて欲しい質問力について考えてみたいと思います。
OBに会う時は具体的な質問を用意しよう
OB訪問して話を聞いてみたいと思うような先輩は、それなりに活躍していて忙しい方なのです。
「後輩です。会って話を聞かせてください」とアプローチしたとしても誰でも会ってもらえるわけではありません。
そんな素敵な人生の先輩に会う機会が得られたのなら、有効に活用しないともったいないですね。
せっかくの機会を有効に活用するためにも、どんな話を聞いて、何がわかると自分にとってうれしいのかを整理して臨む必要があります。
意図が伝わらない質問はやめよう
私も激務の心得を通じて、読者の方からの個別の質問を頂くことがあります。
全員にお会いできないこともあって、個別の質問には積極的に答えるようにはしています。
しかし、個別の質問を頂いた際に残念な気分になってしまうのが、思考されておらず、意図がよくわからない質問をもらった時です。
例えば、こんな質問が来たらどうでしょうか。
まず、質問者が何を知りたいのか意図がよくわかりませんね。
「コンサルは虚業で実は存在意義がないんじゃないかと思っているので、それは本当なのか確認したい」のでしょうか。
それとも「コンサルの社員の給料が高いと言われているけど、それ以上に労働環境は過酷だから実は給料は労働に対しては見合っていないんじゃないか」と考えているのでしょうか。
この質問文では、「”誰が”コンサル報酬が高いと言っているのか」と「質問に対して、自分は答えはこれだろうと考えてる仮説」が相手に伝わってきません。
この状態で質問をされるとまずは、前提条件の確認作業から行う必要が出てきます。情報を補完して考えて答えてくれることはあるでしょうが、その情報補完が必ずしも質問者の意図通りに行われず、噛み合わない議論になることはよくあります。
なので、こんな感じに修正すると思考の後が伺えて、議論も発展しやすいのではないでしょうか。
私は、コンサルのノウハウ自体が出回るようになってきているので、徐々にコンサル自体の価値が落ちて、現在の報酬レベルが維持できずに崩れるのではないかと考えています。
現役で働いている人からはどのように見えるのでしょうか。
ここまで来ると何が知りたいのかが明確になって議論しやすいですよね。
この方は、単純に報酬の高い・安いを知りたい訳ではなく、コンサルの価値が将来的に下がっていくのかどうかの傾向が知りたいのです。
コンサル業界に就職したら将来の見通しは明るいのか暗いのか方向感に対する自分の仮説(この人の仮説はネガティブ)を検証したい訳ですね。
こんな感じで聞いてくれると、「ああ、それが知りたいんだね。それは、、、」と自然な感じで会話は流れていくでしょう。
質問はその答えよりも重要だ
質問を考えることは、思っている以上に大変で時間がかかる作業です。
質問を考える際にはこんな流れで考えてみると考えやすいかも。
- 自分が本当に知りたいことを明確にする
- 今、自分がわかっていることを整理する
- 追加で何がわかると自分が本当に知りたいことにたどり着けるかを整理する
このプロセスを経て、仮説が出来て、その仮説を検証するための質問が生まれるわけです。
もちろん、この設計が綺麗に出来るようなるには時間がかかります。思考のトレーニングなのでいきなりは無理でしょう。
しかし、思考に掛けた時間の量や思考の深さは質問を聞いていればわかります。
なんとなく質問をするんじゃなくて、間違っていても下手でもいいので、質問の答えを自分なりに予想して、その予想があっている、もしくはどこが間違っていたかを確認する作業として面談の場を使ってみてください。
「なぜ」を質問する時は「自分はこう思う」と仮説をセットで言うと、筋の良し悪しは別として成長が早い。
自分の思考レベルを晒すリスクへのご褒美として、全員の思考を自分の仮説に集めてインプットが貰える。
「お前はどう思う?」に答えに行こう。
沈黙は金、なぜはダイヤ、仮説はプライスレス。
— 慎 正宗 (@shinmasamune) February 5, 2020
一言でいうと「質問と仮説をセットにしましょう」ということです。
それぐらい考えて質問してくれると質問された側も印象がよくなりますし、単純に自分の思考トレーニングにもなります。
質問の重要さを物語るアインシュタインの名言
ここでアインシュタインの名言を紹介しておきます。
「もし自分が死にそうな状況になって、助かる方法を考えるのに1時間あるとしたら、最初の55分は、適切な質問を探すのに費やすだろう」
ーアルバート・アインシュタイン
私がしつこく補足するよりもこの言葉があれば、多くを語る必要はないですよね。
「そんなこと言われてもわかんないよぉぉ」という人は違うやり方もある
思考をして事前準備しろと言われても、「そんなの出来ねぇし」「やったとしてもそれがあってるのかどうかわからねぇし」と思った方に朗報です。抜け道はあります。
それは、SNSを通じて「この人、面白そうなだなぁ」と思わせることです。
フェイスブックを見れば人脈がなんとなくわかり、ツイッターを見れば思考がわかり、インスタを見れば暮らしがわかります。
この記事をここまで読んだ皆様が会おうとしている方々は、そのような機会があったら「とりあえずググる」を基本動作としている方々です。
名前であなたのことを検索します。
絶対にします(断言)
そんな時に、極左的なリツートばかりしている目を覆いたくなるようなツイッターアカウントが飛び込んできたらどうでしょうか。
キラキラした港区女子的な痛いインスタが釣れちゃったらどうでしょうか。逆に、示唆に富むツイッターアカウントが出てきたらどうでしょうか。
言うまでもないですよね。
逆に先方が会ってみたくなるようなSNSのアカウントを運営していれば、事前に質問を用意しなくても大丈夫です。
むしろあなたがいろんな質問攻めにあうかもしれません。
こうなると人生の先輩にアドバイスをもらうというよりも、対等な立場で意見交換の意味合いが強くなってきます。
さすがにそんなSNSアカウントを運用しているのはごく一部の限られた方だけでしょうが、最初の審査に引っかからない程度のSNSがあった方が何かとスムーズにことが運ぶということを覚えておいてください。
まとめ:思考の整理に時間を使うのは最低限のマナー
本田圭佑さんがこんなことをツイートしていました。
何を知ればいいかということを、知ると言うのは意外に難しいし、1人で解決しようとするタイプだった自分には長い間、意味が分かってなかった。
— KeisukeHonda(本田圭佑) (@kskgroup2017) November 18, 2019
言い換えれば「仮説を立てて論点を整理するのは意外と大変だ」という意味でしょう。
人に会って話を聞くということは、自分も相手も時間を使う行為ですので、最大限の効果を引き出さないともったいないですよね。
友達でもない人に時間をとってもらって会うからには、目的を明確にして、事前によく考えた仮説と質問を持って臨んでください。社会人になってもずっと続きますので、今のうちから訓練しておきましょう。
以上「OB訪問するなら同時に質問力も鍛えよう」でした。
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入社前にいろいろと準備の為に勉強すると思いますが、最高の準備はビジネス経験を持つことです。しかし頭では解っていてもやらずに終わる人が多い。だったら自分でやってみましょう。一番大きな差がつきますよ。
大学卒業後、ファンド・コンサルで10年以上働いて独立しました。今は、個人でコンサルやりながらニッチなメディアの運営を行っております。詳しいプロフィールはこちら。
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[…] 知り合いの中で、その手の業界に近い人に会って知りたいことを聞いてください。 […]